内容説明
まんまるい顔、小柄な体、つば広帽子に古ぼけた僧服を着てこうもり傘を持つ異色の探偵ブラウン神父。その風貌に似ぬ鋭い推理力でつぎつぎと難事件を解決する。大盗賊フランボーを改悛させる「飛ぶ星」、五人の人物が全員消え失せてしまう「古書の呪い」など斬新なトリックが盛り込まれた傑作6編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
62
世界の名探偵コレクション第3弾。エラリー・クイーン氏や江戸川乱歩先生は、名探偵を1人挙げるならブラウン神父だと言いました。しかし日本では、今一つ知名度がない。それはブラウン神父は大人のミステリーであり、ある年齢を経て読むと面白さが解かる様になってくる為だと思う。伏線を読み取り犯人を推理するのではなく、読者はただ神父の推理を聴くのみ。なのに名作であるのは、数多くのトリックの基本が此処に在るからです。「ドニントン事件」はシリーズの短編集には含まれていない唯一の作品ですが、本作のみで読める事は大変貴重な事です。2015/11/23
Urmnaf
7
ブラウン神父入門編として、各短篇集から1作ずつ収録。ただしベストではないよう。このあたり、編集方針がよくわからん。中では、「マーン城の喪主」「古書の呪い」が皮肉っぽくて良い。何より、短編集未収録の「ドニントン事件」が収穫。まあ、未収録には理由があったんだなあ、と思わせる出来ではあるんだけども。2019/11/03
有沢翔治@文芸同人誌配布中
4
呪われた本を読むと、人が消えるという。その証拠に五人全員がテントの中から消えてしまった。インドの古書を巡る奇譚「古書の呪い」。 マーン侯爵は決闘を人を殺してからというもの、出てこない。殺人を悔いて発狂しているのだ。しかし決闘には立会人がおり、不正は行われていないと証言した。白昼の試合で見逃すはずがない、とも。あの殺人は仕方がなかったと皆で慰めに行くが……(「マーン城の喪主」)http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51521595.html2021/11/18
おりすと
4
米澤穂信の作品を読む上で何度か名前を見掛けていた探偵「ブラウン神父」の傑作選という事で購入しましたが、どうやら普通の傑作選とは敢えて外した選び方の本だったようです(本当の入門には向かなかったやも)。とはいえ中々興味深い作品でした。チェスタートンは小説家であると同時に挿絵家・詩人でもあったそうですが、そのせいか各話の冒頭で語られる舞台の描写は実に幻想的です。幻想的と思うのは今だからで当時は寧ろリアルな部類だったのかもしれませんが、貴族の館で開かれるパーティや塔の聳える入江などはなんとも異国情緒が漂っています2014/01/05
ひょ24
1
探偵と聖職者が融合され, その両方の性質がうまくブラウン神父セリフに滲み出ている。2018/09/25