内容説明
突然の轟音と大震動と共に、地下鉄の連絡通路に数人の男女が閉じ込められた。真の闇の中で荒廃していく肉体と精神。やがて体から“思念”が離脱して…「地下生活者」。何気なく乗り入れた海岸で、ワゴン車が砂利を噛みながら徐々に沈みはじめた…「遠灘鮫腹海岸」(椎名誠監督映画原作)。“地下”を舞台に、妙な笑いと恐怖に満ちたシーナSFヘンテコ・ワールドの快作2編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シャル
10
砂浜に埋もれていく車の話と、地下に閉じ込められた人々の話という、地下にまつわる二つの短中編。どちらの話も絶望の中で漠然となにか手を打たねばと思い、行動する人々の様子と心理が、生々しくそして静かに描かれる。遠灘鮫腹海岸は苦しむのが主人公一人ということもあり、現実に対する無力さに沈んでいく乾いた心境が克明にされている。一方で地下生活者は、視界の無い状況の序盤や同じ境遇の人物が複数であることからくるぼんやりとした連帯感、その後の展開など、どこか闇の中の幻影のような雰囲気を感じさせる。どこかつかみどころない一冊。2014/01/17
がるっち
6
頼む、最後どうなったのか、なんだったのか、教えてくれーーーと言いたくなるのが、椎名誠のSF短編集。あぁ気になる世界。遠灘鮫腹海岸は、車が砂にはまってしまいなんとか抜けだそうとあがく男の話、もう一つは地下鉄のホームで謎の陥落事故に会う男の話。一体なんなのーと不思議な世界に取り残される。2010/08/18
けいちゃっぷ
5
去年から購入していたシーナ本がかなりたまったので軽いSFっぽそうなのを読んでみた。SFと言えばSFなんでしょうが、SFでないといえばSFでないかも。どちらの話しも当事者にとっては恐怖だ。2009/03/10
可兒
3
時々あるグロ系シーナワールドの長編版2008/12/12
ウララ
2
再読本。以前読んだときは主人公は本当は生きていた、と思ったらしい。当時の感想を読むと。でも今回はやっぱり死んでいて、思念の存在になっていたんだと思った。2013/04/26