内容説明
大生部一家はテレビ局の特番取材で再びアフリカへ旅立つ。研究助手の道満、スプーン曲げ青年の清川、大生部の長男納、テレビのスタッフ6名。一行はケニアとウガンダの国境沿いを北上してスワヒリ語で「13」という意味の不吉な村、クミナタトゥに着いた。村民に怖れられる大呪術師バキリの面会に成功した一行は最大の禁忌を犯す。バキリのキジーツの少女を攫ったのだ。危機一髪。ケニアを後にする。日本推理作家協会賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
195
心玉導師の新興宗教とバキリの呪術の運営の構図は同じですし、やっていることもほぼ同じです。心玉導師の信者はバキリのキジーツに該当するのでしょう。また、イエズス会も同様であると著者は暗に示唆しているようにも見受けられました。さて、I巻では心玉導師vs.主人公達、II巻ではバキリvs.主人公達でした。どちらも完全決着は付いていません。最終巻でどうなるか。目が離せなくなってきました。2017/07/09
nuit@積読消化中
194
2巻の舞台はアフリカ!中盤まではポレポレなアフリカをしばし旅の目的を忘れてゆるりと…しかし、ブンゴマから目的のクミナタトゥに入るあたりからは前半のポレポレ気分もどこへやら、バキリの登場からはもう巻末まで一気読みです。この呪術合戦、実際にありそうだから怖い!(現地では実際にあるんだろうなぁ)とにかく、最終巻を早く読まねば!2017/10/04
ALATA
119
Vの企画でアフリカへ向かう大生部ファミリー。ロケの過酷さに加え死生観と同居する民俗学的因習、呪術の数々に圧倒された。癒し、ヒーリング、病い、作物の枯渇、天地の災い、呪いを解く、すべての現象には理由がある。失ったものを探す旅は後半一気に加速してハラハラしました。それにしても強力な呪術者バキリと「バナナのキジーツ」の正体に驚愕★5※コテコテの大阪弁を話す通訳ムアンギがいいキャラクターで、ケニアの常識「像を冷蔵庫に入れる三つの条件」にはニンマリ。2024/09/25
ヒロ
94
1とはまた違うホラーみたいな展開があり、と思えばまさかの驚きがありと楽しませてもらいました。アフリカの呪術師というのはかなり社会の中で重要な役割を担っていて、それがよく分かる描写が沢山ありました。ホントにいつどこで呪われるか分からないというのが恐ろしすぎますし、レベルが高ければすぐに殺されるような事もよくあるのは日本と違いすぎて、やっぱり未知の世界がずっと広がってるんだろうなと思いました。また次も気になるので読んでいきます。2024/11/12
藤月はな(灯れ松明の火)
86
日本での揉め事を解決した一行はアフリカへ。スワヒリ語、アフリカ料理や世間で捉えられているアフリカ像と現実のアフリカとのギャップ、妬みと諍いが起こる部族間においての呪術の働きは文化人類学を学んでいた身としては懐かしく、思うばかり。しかし、バキリによる人間の認識がどれほど、危ういのかはSNSの発達やフェイクニュースなどが身近になってしまった今では、的を得すぎていてゾッとするものもあります。それにしても装丁デザインが大好きな北見隆氏なんですね。気づいた時は小躍りしそうになりましたよ^^2017/08/16