内容説明
女装倒錯、その美貌とあいまった孤高のナルシズムに生きる作家志望の青年。そして、殺戮をくりかえしてまでも子供たちを守ろうとする過剰な家族愛に生きる異形の大女。高原の避暑地を舞台に、それぞれの人生が交錯するとき悲劇のドラマがはじまる―。愛と憎しみに囚われた人間の2つのストーリーがモザイク模様のように絡み、展開する衝撃のサイコ・サスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yu。
27
怖いが切ない。。。もう一つの人格を持つ異常者同士の二つの物語にもう一つの物語が加わる事によってスパークするサイコサスペンスホラー。…改めて思う、大好きだわ小池作品。2016/05/22
ぐうぐう
26
野心に溢れたミステリだ。物語は、恋人達の描写から始まる。許されざる恋を選択した男女の心の情景が綴られていくと思いきや、ふいに事件は起こる。しかし、二人に振り下ろされた突然の暴力は、殺戮の一端に過ぎない。解説で香山二三郎は、映画『悪魔のいけにえ』を連想しているが、それ以上にキングのホラー小説の展開を小池真理子が意識しているのがわかる。とはいえ、バイオレンスな物語の根底に、小池が配置している設定こそが、この小説の最大の読みどころだ。(つづく)2018/04/17
柊子
17
久しぶりの再読。女装する美しい青年、不気味な親子、クライマックスまで一気読み。怖いけれど限りなく美しい、独特の小池ワールド。再読でも面白いものはやはり面白い。2016/07/12
まっきー☆
12
図書館本。結構時間かけてしまったが、非常に濃い作品。いわゆる序章の段階で「ぎょえーー!?」の一言。え?この人たちが主役じゃないの?と仰天。そして世にも美しい青年・真琴。彼が、あの親子とどのような関係になって?どんな結末が??と、毎日少しずつ読みながらハラハラしていたが・・・なんとも悲しく切ない幕切れ。真琴の真実は世には出ないが、生きた証が残されていることだけが救いなのかな。あの作品、世に出してくれたらよいのに、と思わずにはいられなかった。いやはや、ホラーじゃないけど、宿命の森は怖かった!そして悲しかった。2020/06/18
K K
11
面白かった!初めて読んだときからすごい衝撃であれから何度も読んでます。やはり小池真理子すき。耽美、妖しく不気味。非常に魅力的で引き込まれます。秀逸。2016/06/20