内容説明
死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら…。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望―。静かに胸を打つ物語。
著者等紹介
本多孝好[ホンダタカヨシ]
1971年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1994年、「眠りの海」で第十六回小説推理新人賞を受賞し、作家デビューする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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青葉麒麟
528
ちょっぴりな毒と淡々とした、だけど切ない内容だった。森野はなんだかんだ言って僕の事を見てるんだなぁと思った。ミーコちゃんが無事に退院出来てホッとした(*´∇`*)2012/07/16
優愛
456
末期患者の願いに込められた恋心、家族愛、待ち受ける死への恐怖。ある日を境に届くようになった願いを叶える為に行動する僕の物語。もしもたった一つだけ願いが叶うとしたら、人は死ぬ間際に何を願うのだろうか。綺麗事だと言われても私は最後まで誰かのために欲望を使いたいと思う。あの人に幸せになってほしいと心から願える人でありたいと思う。切ない願いの中で少しずつ埋もれていた自分を見つけ出し、人を想う優しさだけはより一層根強いものにして羽ばたいていくような最後は、読み終えた後表紙を見ると僕と同じ景色を見れた様な気がします。2015/01/04
射手座の天使あきちゃん
372
末期患者の最後の願いを叶える伝説の仕事人(清掃アルバイトの僕、って設定がちょっと笑える) でも最後の願いは人それぞれ、怖ーい願い、人間の尊厳を問うもの、「WISH」の美子ちゃんや「FIREFLY」の上田さんの切ない願いに涙ホロリでした。しんみり!!2010/04/25
そる
349
この雰囲気好き!登場人物達が冷静で変わり者なようでいて内面では情に厚く人懐っこい。主人公神田くんが特に。こういう人になりたいと思った。また死にゆく人の願い事が何気ないことのようで実は捻っていて神田くんもストレートに受けないので騙し合いみたいになっているのが、偽善的にならなくて好き。人同士の関わりは、何気ないことを取り合って、予期しない形で返してくることで繋がるのでは。それ故に温かさの残る話だった。「「他の人間関係も同じだよ。その人の付き合いやすいパーツだけを選んで付き合うなんてどだい無理な話だ。(略)」」2020/06/28
遥かなる想い
315
病院での不思議な物語である。 死ぬ前に 一つだけ願いを叶えてくれると したら、何をお願いするのだろう …ひどく叙情的なトーンが心地良い。 生と死が 同居する病院の物語 …僕が 森野と語る 喫煙室での会話 …たわいもないが、なぜか 味わい深い感性が 心に残る…そんな物語だった。2018/09/16