内容説明
文化六年元旦、江戸最大の劇場、中村座が炎上し、焼け跡から、男の死体が見つかる。正月興行に水をさされ、下手人が身内でないことを祈る劇場主十一代目中村勘三郎。だが折しも、三代目荻野沢之丞が、誰に名跡を継がせるか、話題となっていた。反目しあう兄弟、戯作者、帳元、金主等、怪しいヤツばかり。北町同心達が謎を追ううち、次なる殺人が…。芸に生きる男達の修羅地獄を描く長編時代ミステリー。
著者等紹介
松井今朝子[マツイケサコ]
1953年京都市生まれ。早稲田大学卒業後、松竹入社。歌舞伎の企画・製作に携わる。97年「東洲しゃらくさし」でデビュー。同年、「仲蔵狂乱」で第8回時代小説大賞を受賞
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感想・レビュー
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鉄之助
241
風姿花伝、徒然草、梁塵秘抄、大鏡…。各章の冒頭に書かれている、古典・名籍の一部が、そのまま本文に微妙に絡んで行く筋立てがお見事! 歌舞伎の芸の道を追うあまり、人の道を外れる「非道」に陥る、人間のサガをドロドロと描く。2021/08/23
優希
51
面白かったです。時代長編ミステリー。江戸最大の劇場・中村屋が炎上し、男の死体が見つかります。その後も次々と殺人が起こるので、読み応えがありました。更に、芸に生きる男たちの裏事情も知れて興味深かったです。2021/01/23
kawa
30
江戸後期を時代設定とする長尺歌舞伎ミステリー。歌舞伎世界の人間模様が面白く没入読書だったのだが、最後の謎解きに置いていかれミステリー読解力に劣る私。2022/12/04
ミエル
30
2作目から読んでしまったので、1作目が後手に回った。うーん、長い…長すぎる。登場人物が全員おっさんだしなかなか読みにくい複雑なミステリー、面白いのは面白いんだけど、もうちょっと焦点を絞った構成が良かったなー。視点が変わりすぎで小出しに読んでいると疲れる。同心によるミステリー部分と役者親子周りの愛憎劇が同じくらいの熱量で行ったり来たりと並行するので、作品全体の印象が残らない。こんなに面白いテーマなのになんか勿体ない気がする。2021/10/21
ヨーイチ
25
全部読んでいる訳では無いが、松井今朝子は好きだし、尊敬している。歌舞伎が好きなので、面白かったし、勉強になった。此れ位歌舞伎の制作過程書き込めるのは、まあこの人位だろう。前は有吉佐和子。芳町、男色に結構踏み込んで描いてある。時代がかわったと言う事なのだろう。ゲイの専門家に感想を聞いて見たいものだ。値打ちだと思ったのは、架空の狂言をそれらしく、筋に絡めてある事。多分この部分だけで、歌舞伎の新作が出来る。寄せ集めだけど、自分が見たい場面を書いたのだと思う。小生もワクワクした。続く2014/08/15