内容説明
トシオ・マナハン、14歳。セブ島で祖父とふたりで闘鶏用の軍鶏を育てている。ゲリラのホセ・マンガハスが住む「虹の谷」への道を知っていたことから暗殺、誘拐の硝煙の宴に巻きこまれていく。少年の夢。怒りと誇り。愛する者との別れ。慟哭の叫びを胸奥に沈め、少年は男へと脱皮して行く。第三世界の片隅から世界を睥睨する冒険小説、感動の巨編。直木賞受賞作。
著者等紹介
船戸与一[フナドヨイチ]
1944年2月8日、山口県生。早稲田大学法学部卒。79年「非合法員」でデビュー。85年「山猫の夏」で吉川英治文学新人賞、日本冒険小説協会大賞、2000年「虹の谷の五月」で第一二三回直木賞を受賞する
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感想・レビュー
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kaizen@名古屋de朝活読書会
121
直木賞】日本人の医師が誘拐され、助けに行く父が日本人、母がフィリピン人の「ジャピーノ」13歳トシオ。フィリピンと日本の関係を二つの視点で書いているところが出色。虹の谷から出てきたホセの活躍も虚しい。フィリピンの視点で、この本がどういう評価があるのか知りたくなった。2014/04/29
hit4papa
71
フィリピン・セブ島に暮らす日本人ハーフの少年の成長物語。下巻は、死が暗い影を落とし始めた主人公トシオの暮らす村。トシオは、元ゲリラが潜伏する「虹の谷」明かしてしまったことから、ゲリラたちの戦いに巻き込まれてきます。ここから、著者の本領発揮!銃弾飛び交う中の戦闘は、時代背景となっている2000年頃の日本ではあり得ないシチュエーションです。それでも、ハラハラが止まらない。ホセと合流したゲリラ V.S. 暗殺部隊の斃し、斃されの戦いが続きます。トシオの目を通した戦闘の結末は!著者らしい決着の付け方です。 2021/12/22
tengen
51
まん丸の虹が出るという虹の谷への道はトシオしか知らない。だがそこにはゲリラのホセ・マンガハスが住んでいる事からトシオは暗殺や誘拐事件に巻き込まれて行く。 愛する者たちの生き様や別れがトシオを変えて行く。 少年は大人になった。 ☆彡 たった14歳から16歳までの3年足らずの物語なのだが余りにも濃密。 後日談も読んでみたいものです。 2018/08/21
James Hayashi
44
直木賞受賞作。面白さは際立っているが、長さも半端ない。 舞台はフィリピンであるが、日本人と混血のジャピーノが主役。13歳でありながら治安の乱れた島国で混乱の渦へ巻き込まれながら成長していく姿はなんとも頼もしい。闘鶏やゲリラとの闘争、日本との間接的な繋がりは興味を失わせず読みどころがある。同僚のフィリピーノの見方が変わるかも。2019/11/24
TATA
42
上下巻読了。何かと血腥いし、周囲の人もバンバン亡くなっていくし、ホント凄惨な描写が多いのだけどそれでも少年ジャピーノが逞しく成長していく物語。この破天荒な展開を受け止める90年代のセブという舞台設定も秀逸。ラストシーンは美しく、切なく、心地よい読後感。設定は全く違うけど藤沢周平さんの「蝉しぐれ」のような胸熱作品。2025/05/17
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