内容説明
もしもあの時、別の選択をしていれば、全く違う人生を歩んでいたのだろうか…。平凡な会社員・元城一樹のふとした夢想が、すべての始まりだった。一人娘の和子の前に姿をあらわした不思議な少女沙羅。その名前が甦らせる、消し去ったはずの過去。やがて、今ある世界と、あり得たはずの世界とが交錯しはじめて―。表題作を含む、全10編を収録。珠玉のミステリ短編集。
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
三代目 びあだいまおう
273
『ほんとうに不思議なことはきっと、あなたのすぐそばにある/10の謎を集めた珠玉のミステリ短編集』と帯に。読み終えて確かに不思議な余韻が漂います。貫く共通のテーマがあると思うのだが適した言葉が見つからない。霊?存在する筈のない存在?いない筈なのにいてほしい何か?表題作は、過去に選択して得た現実と、選択しなかったものを選択した場合のパラレル?誰しもが持つ、過去の決断への後悔、人生をやり直せたなら···の無意味な願望。私たちの人生につきまとう過去への想いを洗い出しホンワカさせるSF(少し不思議な)短編集‼️🙇2020/12/07
mae.dat
267
ラストに表題作を据える10話短編。表題作以外は50ページにも満たないの。ショートショートも含まれていますね。裏表紙解説には“珠玉のミステリ短編集”とありますが、ミステリーかと言われると微妙に思いましたね。『オレンジの半分』は叙述トリックを使っていましたが。全体的に若かりし加納さんによる実験的な作品群でもあった様に思われました。『商店街の夜』はショートショートらしく面白いオチだと思いましたよ。終話表題作は、段々と構造が分かって来るのですけれど。沙羅にとっても和子にとってもハッピーエンドには出来ないのかなぁ。2025/07/09
しんたろー
177
久しぶりに読んだ加納さんは、お得意の「日常の謎」的ミステリではなくて、ホラーテイストやSFチックテイストも漂うものが混ざった10作のファンタジーだった。とは言え、 根底にある温かく優しい心情は健在で、瑞々しい感性で描かれた素敵な物語を楽しめた。特に『黒いベールの貴婦人』『フリージング・サマー』は良かったし、本作最長の70ページ程に力を入れた表題作は「もしもあの時、彼女を選んでいたら…」と男性の多くが考えてしまうだろうテーマを加納流パラレルワールドとして表現していて、余韻と共に心に残る切ないものだった。2018/09/25
gonta19
133
2019/5/13 楽天ブックスより届く。 2022/4/4〜4/7 加納さんらしい、ファンタジー感溢れる10遍からなる短編集。解説の本島幸久氏が書いているが、「いたはずの誰か。いたかもしれない誰か。いないかもしれない誰か。いないはずの誰か。そんな誰かと出遭うことで、異界が開かれ物語が始まる」は非常に端的にこの作品を言い表していると思う。どれも素晴らしいが「黒いベールの貴婦人」と「沙羅は和子の名を呼ぶ」がベストか。2022/04/07
ダイ@2019.11.2~一時休止
104
不思議な世界感のお話が詰まった短編集。天使の都・オレンジの半分なんかがイイ。2014/11/06