出版社内容情報
英国在住、「地べたからのリポート」を得意とするライター兼保育士が、労働者階級の歴史と現状を生の声を交えながら伝える
内容説明
良くも悪しくも先を行く国イギリスの誇り高き労働者階級の歴史と今を学べ!
目次
第1部 地べたから見たブレグジットの「その後」(ブレグジットとトランプ現象は本当に似ていたのか;いま人々は、国民投票の結果を後悔しているのか;労働者たちが離脱を選んだ動機と労働党の復活はつながっている ほか)
第2部 労働者階級とはどんな人たちなのか(40年後の『ハマータウンの野郎ども』;「ニュー・マイノリティ」の背景と政治意識)
第3部 英国労働者階級の100年―歴史の中に現在が見える(叛逆のはじまり(1910年‐1939年)
1945年のスピリット(1939年‐1951年)
ワーキングクラス・ヒーローの時代(1951年‐1969年) ほか)
著者等紹介
ブレイディみかこ[ブレイディミカコ]
1965年福岡市生まれ。保育士・ライター・コラムニスト。96年から英国ブライトン在住。著書に『子どもたちの階級闘争―ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房、2017年・第16回新潮ドキュメント賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
328
2016年のブレグジット(イギリスのEU離脱)の分析にはじまり、その後のイギリスを考える試み。そしてロンドンのイーストエンド(典型的な労働者の町)の人たちの生の声を聞くことで、追跡調査を行っている。さらには、1910年(ヴァージニア・ウルフの言う歴史的な転換点の年)から現代までの労働運動と政治史を振り返ることで、今後の展望を語る。実に綿密な考察であり、そこでは民主主義とマスコミの虚妄が暴かれる。しかも、それはひとえにイギリスの問題ではなく、日本も含めた現代世界の、すなわち我々自身の問題である。2024/06/01
ひろき@巨人の肩
110
英国社会から見たブレグジットの真相について、米国ポピュリズムとの対比、英国労働者へのインタビュー、英国の労働者階級の近代史など複眼的に分析。社会の変化を正しく理解するためには多面的に検討することが大切だと実感。ブロークン・ブリテンに象徴される英国凋落。その中で文化・経済の屋台骨であった白人労働者階級が分断・疎外され、緊縮政策下のEU移民受け入れが死活問題となった。一方で、EU離脱を選択した労働者階級は、悲観も楽観もせずに、英国が再浮上するチャンスと捉えていることに、民主主義が成熟した英国の強さを見た。2022/08/27
佐島楓
88
なぜイギリス国民はEU離脱を選択したのか、という疑問が長い間あった。しかし本書を読んで労働者階級がどういうメンタリティーでいまのイギリスを生きているのかは理解できた(それでもまだ非合理的な選択に思えて仕方ないのだが)。日本もこれから移民問題に直面するのだろう。他人事ではなくなっていく。2020/01/18
ずっきん
72
『ワイルドサイドをほっつき歩け』がニマニマと面白かったので。ワイルド〜の真面目バージョンというところ。切り口が非常に面白く、その層にいる『移民』としての臨場感がとてもいい。2020/11/23
読書ニスタ
71
英国は王家や貴族の国で、エリザベス女王時代から交易や金融でぼろ儲けし、福祉も需実かと思っていたが、一般市民=支配階層にない搾取される人たちは、生活苦からブレグジットを選ぶしか変化を掴めないところまで追い詰められていることが、わかった。支配層=搾取側は、どっちに転んでも、資産は守られているだろう。本書は2極のうちの労働者側の実情を描いたものだ。国民は政治に興味を持っているが、金の匂いはまったくしない。人間らしい生活がしたいという労働者の主張はわかる。支配層を崩す上下の問題で、左右の問題ではない。2019/06/02
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