内容説明
自分はゲイなのかと悩む24歳の夢野。自らに潜む「奴隷性」におびえる28歳のカメラマン坊城。創作にも家庭にも行き詰まりを感じている中年の作家、久遠。巨大都市NYに暮らす3人の男が、ひとりの女を軸に、それぞれ真実の自分を探して葛藤し、抑圧された自己を解放して行く。愛に、生命に、あるべき形なんてない―。インモラルな領域に踏み込む、衝撃的「純愛小説」。
著者等紹介
辻仁成[ツジヒトナリ]
1959年東京生。89年『ピアニシモ』ですばる文学賞を受賞。以後、作家・詩人・ミュージシャン・映画監督と、幅広いジャンルで活躍。97年『海峡の光』で芥川賞、99年『白仏』でフランスのフェミナ賞を受賞
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感想・レビュー
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CCC
1
SEX! SEX! SEX! と性描写が続く話は苦手なんだよなあ……。登場人物も身勝手で、まあそれはいいのだけど、どうも自分とはベクトルが違って共感が出来なかった。何か共有してるものがないと作品を楽しむことは出来ないんかな、とそんな事を思った。……それにしても、辻仁成ってもっと繊細な作家だったような気がするのだけど、今回はそれを感じなかった。読みが浅いのだろうか……。2012/08/15
Ukati
0
そうなんだよね、日本にいると男はこう、女はこう、みたいなのがあって、どちらかに所属しなきゃならない脅迫感がある。 どんな性を持っていても、NYとかへいかなくてもいい世の中になってもらいたいものだ。2017/07/24
lizy
0
【何もかもを犠牲にし、それを幸福だと信じている日本人的な風習や感覚が嫌いでならなかった。】2016/09/22
fumie007
0
よかった。2014/04/19
ツバメ@wantが大事
0
辻仁成作品が好きで購入。 《概要》 ゲイではないかと自身に負い目を感じる夢野。先生を尊敬し師事しながらもその妻紀穂子に惹かれる坊城。家族を蔑ろにする作家としての自身を諦観する久遠。ニューヨークに暮らす孤独な3人が真実の自分を探して葛藤する。 辻仁成は人間の苦悩や葛藤を、透明感を失わせずに言葉にするのが素晴らしく上手い。キャラクターの感情の動きを体験するように読める。 坊城が流れ星に願いを込めるシーンが深く心に残った。浮かんだ願いの浅ましさを理解しつつも叶うことを望んでしまう、人間味ある矛盾が切なかった。2015/02/19