内容説明
十四世紀半ばの北フランス。百年戦争の果てない戦乱に蹂躙され、疲弊しきった農村に一人の男が現れた。人心を惑わす赤い目を持ったその男・ジャックに煽動された農民たちは理性を失い、領主の城館を襲撃、略奪と殺戮の饗宴に酔いしれる。燎原の火のように広がった叛乱はやがて背徳と残虐の極みに達し…。中世最大の農民暴動「ジャックリーの乱」を独自の視点で濃密に描く、西洋歴史小説の傑作。
著者等紹介
佐藤賢一[サトウケンイチ]
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第六回小説すばる新人賞、99年「王妃の離婚」で第一二一回直木賞を受賞
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感想・レビュー
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駄目男
18
14世紀半ばの北フランス。百年戦争の果てない戦乱に蹂躙され、疲弊しきったの農村に一人の男が現れ「ジャックリーの乱」という農民暴動が起きる。農民が領主を虐殺、殺せ、犯せ、焼きつくせと徹頭徹尾、凌辱、輪姦、男色の話ばかりではないか。まったく面白くなかった。第一、政治的な話はなく結末も、どのように鎮圧されたのかもっと詳しく知りたかったが、うんざりするような強姦のくだりばかり。確かに実際、このようなことが起こったのは分るが、あまりこの手の話は好きじゃない。2025/03/12
Shiori
5
人間が持ち合わせる善悪の移り変わり。蛮行をした後、自分の行いの過ちにはっと気づいて他人を許したり優しくしたりする。度合いの違いはあれ人生って、人間ってこの繰返しだよな、「光は常に闇の中から生まれるのだ」。ところでこの物語のブリジットといい、『王妃の離婚』のジャンヌといい、強い女が報われてなくない?2014/11/21
こやまるぅ
4
「光は常に闇の中から生まれるのだ」 すごく心に残る作品でした。最初から最後までジェロームにぞっこんでした(笑) 虐げられてきた農民が立ち上がり、貴族を蹂躙、虐殺、強姦していく話。ジャックリーの乱なんて知りませんでした。力を手にした人間は貴族も農民も関わらず弱者をいじめるんだよなぁ。農民の気持ちもわからなくはないけど、貴族と同じことしちゃったら意味がないのに…。ファイエム好きなので内容や時代背景はとても理解しやすかったです。2015/01/09
たみこ
3
やっぱり中世ヨーロッパはおそろしい。教科書の一文以外でのジャックリーの乱についてのイメージがなんとなくついたけど、最後のブリジットのくだりが、都合良すぎる気もする。でもまぁ、男も女も貴族も農民もみんな自分勝手ってことよね。2015/06/20
のんき
3
1378年のフィレンツェから話が始まって、その20年前に起こったフランスでのジャックリーの乱について振り返られるという構成には、ほほうと思ったのだけど、ジャックリーの乱での出来事の描写や主要登場人物たちの行動・心理には、残酷だったりSMチックだったりでついていくのが辛かった。ただ、辛く感じるのは、人間ってそういうところがあるからこそなのだろうけど。2012/03/28