内容説明
突発的な事故や病気で命の危険にさらされた人間を救うべく登場した救命救急センター。だが、収容された患者の死亡率が、3割を超えるという厳しい現実がある。医療の最前線であるために、人生の表も裏もきれいごとも本音も、鮮やかに浮かび上がらせる病院。24時間態勢の救急医療の現場で医者と患者が織りなす生と死のドラマ。「こちら救命センター」に続く待望の第二弾!日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
目次
救命センターからの手紙
エンゼルセット
告知
植物人間
葛藤
大往生
当直明け
身元不明
自己決定
善意
著者等紹介
浜辺祐一[ハマベユウイチ]
1957年兵庫県生。81年東京大学医学部卒。東大病院救急部を経て国立水戸病院外科に勤務。85年救命救急センター開設と同時に、都立墨東病院へ。現在、救命救急センター医長。専門は救急、外傷外科
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感想・レビュー
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Kurara
29
★★★☆☆ 新聞に載っていたので借りてみました。現役ドクターが書かれてるだけにリアルなお話でした。三途の川を渡ってしまった人を連れ戻すのが救命救急なのだそうです。現実を知ることができ少し自分の身に起きた時の心がまえとなりました。《11》2016/02/07
大竹 粋
5
救命センターに心肺停止から拾われた命が実際の現場側からどのように見えているのか、リアルな話を知りたく、手にとりました。 1500人心肺停止で運ばれて来たうち復帰できたのは6人のみだったそうです。やはり蘇生までの時間がその命運をわけるのだと。あまりの確率の少なさに、いま快復に向かっているこの心臓がなにかの拍子にふと止まってしまうのではないか、そんな恐怖が頭をよぎりました。 生なましく、担ぎ込まれてから応急措置ー診断ー治療の流れが手に取るようにわかることができました。 2015/01/02
fukky
4
テレビドラマなどで脚色されるほどかっこいい職場じゃないんですね、うすうす感じていたのですが・・・。植物人間を「作りだして」しまう「救命医療」の功罪について考えさせられる一冊でした。そんな重いテーマを軽い日常の医師の会話を混ぜ合わせることで薄めていましたが、問われているのはとても、とっても重い命題ですね・・・。2012/03/12
なかけー
4
「こちら救命センター」に比べるとやや真面目になった感のある本著。長年色んな家族(遺族)を見てきた感想が「家族なんて良いものとは限らない」って悲しいなぁ・・・。人の負の面が嫌でも見えてしまうのが救命センターという場所か。2010/08/20
twq009
3
はじめは文体、会話がちょっと馴れなかったけど、短編でまとまっているのがよかった。なにより救命センター医師である本人が書いている、ということに意味がある。ずっとヘビーで見ないようにしてきた死、その死を免れた生、つらい現実。かたわらで見つめ続ける救命センターのドクターの日常。あとがきの、ほのぼのとした読後感としているがそれは私も感じた。生死の境界にいる者がそれを馴染ませている。2013/08/14