内容説明
フィールドの妖精“PIXY”ドラガン・ストイコビッチ。人々を魅了する華麗なプレー。だが、その半生から浮かび上がるのは、政治に翻弄された祖国ユーゴスラビアへの熱き想いと誇りだった。来日当初「乱暴者」のレッテルを貼られた、彼の真の姿がここにある。過酷な運命を乗り越え世界を舞台に光り輝く、憂国のフットボーラーの軌跡を綴るヒューマン・ノンフィクション。一章分の書き下ろしを追加し、貴重な初公開写真も収録。
目次
第1章 伝説
第2章 誇り
第3章 異文化
第4章 復活
第5章 戦場、背負っているもの
第6章 夢舞台再び
第7章 パイロット、ピクシー―ユーロ2000最後の夏
対談 逆境で見せる我らの誇り(ストイコビッチ&ディバッツ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
99
2007/6/17 阪神百貨店LIBROにて購入。2017/3/29〜4/1110年ものの積読本。オシムの言葉で有名になった木村元彦さんの初期作品。主役はそう、あのストイコビッチである。華々しいデビューから、内戦によるユーロ直前の締め出し、失意の中での日本への移籍、フランスワールドカップへの出場、と表面的なサッカーの出来事はよく知っていたが、その後ろにはこんなに悲しい事実があったとは。本当に人間は哀しい存在だ。そういえば、私はフランスワールドカップで、ドイツ代表対ユーゴスラビア代表の試合を生観戦したんだっ2017/04/11
Die-Go
54
図書館本。ユーゴスラビアサッカー界におけるレジェンド、ドラガン・ストイコビッチの苦悩に満ちた歩みを振り返るドキュメンタリー。内戦や外圧など、様々な困難の中でもサッカーに対する情熱を失わず、民族としての誇りを持ち続けた一人の男のサッカー人生。それは称賛に価するものだ。彼の活躍していた当時はさほど興味がなかったが、これを読んでもったいないことをしたなと後悔。★★★★☆2019/02/01
Gamemaker_K
12
約5年半の月日を経て再読:今ではヨーロッパサッカーも国境がない感じだが、でも私は東欧のサッカーが好きなのだ。イタリアW杯のユーゴスラビア代表は、当時マラドーナってすごい選手だ、くらいしかサッカーのことを知らなかった私でも最高に楽しめたチームだった。決してポジティブな選択ではなかったとはいえ、ピクシーが日本に来てくれた幸せをかみしめるわけである。・・・木村さんの文章は自分のリズムにぴったり合うのでいくら読んでも疲れない。「オシムの言葉」がかなりの名著なのでそちらの方が有名だが、この本も相当よい本だと思う。2013/07/29
再び読書
12
ピクシーの熱い思いが沸々と感じられた。ユーゴ紛争と言う政治的な悪者扱いにプレーで立ち向かうアスリートの生き様を感じさせた。本当にマスコミの無力さとパワーポリティックに導かれる人々に翻弄される弱者が浮かび上がる。そこに真摯にサッカーを愛しプレーすることだけで、ユーゴの思いを伝えるピクシーがいた。その乱暴者に見える足掻きも、サッカーをユーゴをそして日本を愛してくれたピクシーを日本人は忘れてはいけないと思う。2012/12/21
雪の行者山@加療リハビリ中
11
ユーゴ系の本はどうしても気にしてしまう。「オシムの言葉」「さよなら妖精」「戦争広告代理店」そして本書。特にサッカーの話は理解できてるかどうか自信がないけれど、とんでもない良書です。お勧めします。…木村元彦と書いて「ゆきひこ」と読ませるのが…著者のご両親の名前に込めた願いも聞いてみたかったりして。2017/11/03