内容説明
“自由・平等・友愛”の共和国を否定して“労働・家族・祖国”のスローガンを掲げた知られざるもうひとつのフランス。第二次大戦下ヴィシー時代のフランス・イデオロギーに迫り、フランス像を問い直す初成果。
目次
序章 いま、なぜヴィシーか
第1章 「国民革命」をめぐる言説
第2章 同時代の知識人の言説
第3章 「国民革命」論の系譜
第4章 知識人とアイデンティティの相克
著者等紹介
川上勉[カワカミツトム]
1938年石川県生まれ。早稲田大学仏文専攻修士課程修了。現在立命館大学法学部教授。現代フランス文学専攻
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感想・レビュー
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nranjen
4
ドイツ政権下の傀儡政権であるヴィシー政府によって打ち出された「国民革命」とは何か、説明しようとした本。実はペタンの周りのゴーストライターが練り上げた定義されたことのない概念!?「自由、平等、友愛」にすりかわった「労働、家族、祖国」のスローガンこそがこの「国民革命」を説明するものかもしれない。実は、元は極右ジョルジュ・ヴァロアが世の腐敗に対し精神革命として打ち出した概念。アンリ・マシス、ティエル・モニエ、ジャック・ドリオといった真っ黒な人たちが援用した。ヴィシーと国民革命に対する研究が勧められてきたかも説明2020/06/26