出版社内容情報
江戸、町医者の娘お紺の意地と恋心を描く
八丁堀の町医者の末娘、お紺は父の仕事を手伝うお転婆娘。医者修行中の長男や、仕立て屋を目指す次男、父の元を訪れる患者たちが持ち込む騒動に巻き込まれつつ、成長する姿を描く。(解説/吉田伸子)
内容説明
八丁堀の町医者の娘お紺は、娘盛りの十七歳。その楚々とした風情から、なでしこちゃん、と呼ばれているが、実は大酒飲みの捕物好き。それもそのはず、祖父は“斬られ権佐”のふたつ名を持つ捕物名人。ある日、次兄の流吉が、殺しの下手人として、しょっ引かれたからだまっちゃいられない。岡っ引きの金蔵小父さんを引き連れて、現場にのりこみ真相を探る。人情と恋と家族愛の心温まる時代小説。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949年函館生まれ。95年、「幻の声」で第75回オール讀物新人賞受賞。2000年、『深川恋物語』で第21回吉川英治文学新人賞受賞。01年、『余寒の雪』で第7回中山義秀文学賞受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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時代小説大好き本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
329
おおぉ、あの『斬られ権佐』の孫娘のお噺を読めるなんて。町医者である父の手伝いをしながら、さまざまな捕り物に首を突っ込むおきゃんな娘、なでしこちゃんことお紺ちゃんの捕物帖。お紺の酒好きという設定も妙に親近感を持たせてくれて嬉しいし(笑)、彼女の恋心や家族を絡めた人情モノになってる設定がいかにも宇江佐さんらしい。2018/05/04
佐々陽太朗(K.Tsubota)
138
宇江佐さん追悼のつもりで、まだ読んでいない本書を選びました。宇江佐さんの御本は22冊目です。御用帖との題名から捕物帖のイメージで読み始めたのですが、むしろ人情恋物語といったところ。むしろその方が宇江佐さんらしい。楽しませていただきました。やはり宇江佐さんの小説はイイ! ほんわり温かで、人間の良い面を信じようという気になります。順序が逆になってしまったようですが次は『斬られ権佐』を読みます。2015/11/26
ふじさん
92
八丁堀の町医者・麦倉洞雄の末娘お紺は、娘盛りの17歳。楚々とした佇まいからなでしこちゃんと呼ばれているが、大酒飲みで捕物好き。祖父は斬られ権佐と呼ばれた捕物名人。お紺がかかわる捕物自体も読ませるが、お紺の恋物語にもなっていて読み応え十分。斬られ権佐の一人娘のお蘭が、立派な母親になり、一家を支えていることも嬉しい。お紺、お蘭、お蘭の夫、二人の息子と関わりを持つ人々が作り出す、人情噺と家族愛の心温まる小説。登場人物のキャラが際立っていて話を盛り上げている。「斬られ権佐」を読んだ人には是非読んで貰いたい1冊。 2024/04/09
ふう
88
どんな時代にも、ちょっと枠からはみ出して、周りをはらはらさせながら元気に生きている女性はいるものですね。町人文化のおおらかさでしょうか。闇もあるけど、知恵と情で明るく進んでいく主人公の姿が、宇江佐さんの生き方と重なります。なでしこちゃんと呼ばれるくらいかわいいのに、胸の中で思い切り悪態つくところが楽しい。毎晩湯呑でお酒を飲んでいるところで、宇賀アナの顔が浮かんでしまいました。2019/03/02
Shinji Hyodo
84
宇江佐さんならではの六編の連作短編なのですが、なんと「斬られ権左」の続編になるのですね…わお!ってな位に嬉しくて得した気分…。権左の孫娘になる「お紺」が主人公。お紺の母親は勿論権左の一人娘だった「お蘭」。幼い頃にかどわかされたお蘭を救う為に命を落とした権左の孫娘が、何と権左の跡を継ぐ様に数々起きる江戸の事件を解いてゆく…ってんだから面白くないわけがない。お紺は麦倉医院の末娘だが、父洞雄の医術の手伝いをしながら健気に生きて患者からも「なでしこちゃん」と慕われる十七歳。続編も読みたかったなぁ´д` ;2017/09/12