出版社内容情報
祭りの夜に、何かが起こる。森見ファンタジーの真骨頂!
姉妹の神隠し、学生達の青春群像劇、繰り返される一日からの脱出など、祇園祭の京都を舞台に様々な事件が交錯し、全てが繋がってゆく。万華鏡のように多彩な宵山の姿を楽しめる、連作中篇集。
内容説明
一風変わった友人と祇園祭に出かけた「俺」は“宵山法度違反”を犯し、屈強な男たちに捕らわれてしまう。次々と現れる異形の者たちが崇める「宵山様」とは?(「宵山金魚」)目が覚めると、また宵山の朝。男はこの繰り返しから抜け出せるのか?(「宵山迷路」)祇園祭宵山の一日を舞台に不思議な事件が交錯する。幻想と現実が入り乱れる森見ワールドの真骨頂、万華鏡のように多彩な連作短篇集。
著者等紹介
森見登美彦[モリミトミヒコ]
1979年奈良県生まれ。京都大学農学部卒、同大学院修士課程修了。2003年『太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で第20回山本周五郎賞受賞。11年『ペンギン・ハイウェイ』で第31回日本SF大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
731
祇園祭の宵山を舞台に繰り広げられる幻妖の物語が6篇。巻頭の「宵山姉妹」が最も秀でているか。バレー教室や宵山の山鉾のトポスを正確に刻みながら、そこに仮初に紛れ込む非日常との交点の錯綜が上手い。しかも、妖かしの実態を明かさないところがいい。これに続く「金魚」と「劇場」は、種明かしと模造の構築であり、面白くはあっても魔的ではない。以下の「回廊」、「迷宮」、「万華鏡」は、いずれも幻想的な世界を現出させはするものの、知的な領域から踏み出せないでいる。ここは思い切って論理を超越してみせるべきところだっただろう。2019/07/18
zero1
416
森見の妄想が全開!非日常の祭りは異世界の入口。読めば頭の天窓が開く?各話が重なる連作短編集だが全部でひとつの物語ともいえる一冊。赤い風船や浴衣の女の子たちは何を意味する?ゲーテが言うように【万物はメタファー】か。バレエ教室の後、宵山見物に行く姉妹は何を見た?宵山で藤田を案内する謎の人物、乙川の狙い。バカバカしさも森見らしさ。後半のループ(後述)はまさにSF。始めと終わりがつながる点もSF。約260ページなのに奥行きを感じるのは作家の手腕が優れているから。ただし読者により賛否あり。他作品とのリンクも。2019/11/21
射手座の天使あきちゃん
360
コンコンチキチン、コンチキチン♪ 祇園囃子に心も浮かれ、浴衣に着替えて団扇を持てば、不思議の世界はすぐそこに! 帰命頂礼、南無阿弥陀仏 宵山団子に笹粽、おっといけねぇ万華鏡!! 準備万端、いざ行かん、阿呆を騙して楽しまん(笑) いつもの「もりみー」なんじゃこりゃ小説に「今回も大満足どすえ」! (^_^)v2012/08/12
扉のこちら側
307
初読。夜は短し…とはまた文体が違っているが、根底にある雰囲気には同じものを感じる。金魚をみるのがちょっと怖くなってしまう。2012/12/01
佐々陽太朗(K.Tsubota)
276
登美彦氏は子どもの頃、裏山の和尚さんとケンカをして、「実益のないことしか語ることができない」呪いをかけられたそうな。翻って私はどうか。「阿弥陀如来を頼みまいらせて念仏すべきものなり。あなかしこ、あなかしこ」というありがたい御教えをことごとく無視してきた報いか、小説などという実益の欠片もないものを果てしなく読み続けている。しかもあろうことか登美彦氏の文章がことのほかお気に入りである。それにつけても、この無益な小説を読む喜びは果たして無益なことなのだろうか。あるいは有益なことではなかろうかとも思う。 2012/07/16