出版社内容情報
男と女はわかりあえるのか?
踊ることと兄が大好きだった茉莉は、17歳で駆け落ちをし、同棲、結婚、出産を経験する。でも、いつも思う。家族みたいに懐かしく安心な九のそばにいたいと…。夢を信じることが出来るあなたに贈る、柔らかな幸せの物語。
内容説明
愛する夫を事故で失った茉莉。傷ついた心を抱え、幼い娘と福岡からパリ、東京へと移り住む。娘のさきを育てながらバーで働き、男たちと交際しつつも、幼なじみの九と、いつもどこかでつながっていた。やがて福岡に戻った茉莉を、不思議な運命が待ち受けていて―。寄る辺のない人生を、不器用に、ひたむきに生きる女と、一途に愛を信じる男。半世紀にわたる男女の魂の交歓を描いた一大長編。
著者等紹介
江國香織[エクニカオリ]
1964年東京都生まれ。小説、童話、詩、エッセイ、翻訳など、幅広い分野で活躍している。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で第15回山本周五郎賞、04年『号泣する準備はできていた』で第130回直木賞、07年『がらくた』で第14回島清恋愛文学賞、10年『真昼なのに昏い部屋』で第5回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
86
最後に大きな愛を感じました。記憶の中で生きる人たちと共に人生を歩む茉莉。茉莉の好きになる人は決まって記憶の人になるのが切なくてギュッとなります。何人と恋するのかと思ったりもしますが、基本的に茉莉は孤独だったのだと思います。気が強いけれど何処かで寂しさをたたえる女性。一途な九と時を過ごし、兄からのハガキが共通の宝物になったとき、絆と共に柔らかな幸せを感じることができました。2人は一緒になることはなかったけれど、確かに愛で結ばれていたのだと感じます。『右岸』、読むか迷うところです。2015/12/05
オリーブ子
76
「一杯のお酒にできること」これがこの小説で一番好きな言葉。他には惣一郎の、チョウゼンとする、とか、考えてごらん、も。茉莉の、好きになると決まって、死ぬかぐうたらになるかのどちらかなんだもの、も。私の恩ある知り合いとすごく重なる志津夫の、不変なるもの、も。私は茉莉と同じ時代を同じように生きて、同居した夫の両親を送った家に今も住んでるから、かなりシンクロした。クラクラしながら、あっという間に読了。読んでる最中に不思議な出会いもしたし、なんだか縁を感じる。「ポスト・デサンス」に行きたいなぁ。2015/10/24
めろ
58
恋とお酒に生きた等身大の女性の一生。大切な人はいなくなり、また他の誰かと出逢う。生きて行くことは悲しみの積み重ねで、人はやはり孤独だと感じた。2013/09/08
ann
50
出だしは違うのに、人生が進むにつれて茉莉とシンクロしてしまいそうな自分の来た道を反芻させてくれた「愛しい」架空の一代記。子が離れ親を看取り「ひとり」になってしまう無上の寂しさと相反する自由さの中で折り合いをつけながら、落とし所を探しながら、少しずつ減速しながら後半の生にシフトしていく彼女をお手本に。行きたい場所に行こう。やりたいことをしよう。好きな人に好きと言おう。2019/09/10
扉のこちら側
48
初読。一人の女性の半生。残される孤独感、過去の郷愁が描かれている。右岸をこれから読みたい。2012/11/16