集英社文庫
読む人間

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  • サイズ 文庫判/ページ数 270p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784087467390
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

ノーベル賞作家が語る“読む"ことの大切さ
自分は「これらの本と一緒に生きてきた」。自身の体験を元に、“読む"ことが生きるうえでいかに大切かを説いた読書講義録。東日本大震災後の2011年6月に水戸で行った講義も収録。

内容説明

私はこれらの本と一緒に生きてきた―。マーク・トウェインから井上ひさしまで、著者がこれまでに出会った、世代を越えて読み継がれるべき大切な作品を紹介。自らの執筆活動と読書体験を元に“読む”ことが“生きる”うえでいかに救いとなり、喜びとなるかをやさしく語る、ノーベル賞作家による読書ガイド。文庫化に際し、東日本大震災後の2011年6月に行われた講演を新たに収録。

目次

第1部 生きること・本を読むこと(さようなら、私の本よ!;故郷から切り離されて;文体を読みとる、文体を作る;ブレイクの受容に始まる;本のなかの『懐かしい年』;ダンテと『懐かしい年』;仕様がない!私は自分の想像力と思い出とを、葬らねばならない!)
第2部 死んだ人たちの伝達は火をもって表明される(「後期のスタイル」という思想―サイードを全体的に読む;読むこと学ぶこと、そして経験―しかも(私の魂)は記憶する)

著者等紹介

大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935年生まれ。東京大学仏文科卒業。58年『飼育』で第39回芥川賞、67年『万延元年のフットボール』で第3回谷崎潤一郎賞、72年『洪水はわが魂に及び』で第26回野間文芸賞、82年『新しい人よ眼ざめよ』で第10回大佛次郎賞、81年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で第34回読売文学賞、90年『人生の親戚』で第1回伊藤整文学賞を受賞。94年に日本人として二人目のノーベル文学賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

66
黒人のジムを助ければ地獄落ちと思いながら、「よし、僕は地獄へ行こう」と瞬時に決めたハック。それを自分の生き方にしてしまった大江さん。渡辺一夫の翻訳を原文と読み比べながら一語の重みを体得していった経緯は、彼の小説作法にとって極めて重要な体験だったらしい。なるほど大江の小説の文体には、この感動が生きているのだと納得がいった。サイードとの交流も心に残る。文学をやめようとした時勇気を与えてくれたのが、『文化と帝国主義』だったという。本との出会いは人を新しい一歩へ向けて、導くというより押し出してくれるのだと思った。2014/09/14

メタボン

29
☆☆☆☆ 大江健三郎の講演集。エリオット、ブレイク、ダンテの神曲などを題材として、障害を持つ息子との共生や、四国の村の神話的な物語を紡いできた大江の作品は、ずっと読んできたものだったので、この講演の内容は腹落ちするものだった。サイードの「後期のスタイル」について言及する講演の回はちょっと難しかった。まだ「おかしな二人組」三部作を読んでいないので、しっくりきていないのだと思う。2023/01/12

風に吹かれて

22
登場するのはダンテ、エリオット、サイードなど大江の小説でお馴染みの人々なので興味深く読むことが出来る。 「自分という人間につながっている」と感じる本や著作者たち。分からない単語は徹底的に辞書も読み込んで、原書で、また、研究書も原書で読む大江。本そのもののみならず、ヴァージニア・ウルフを看病したこともあるジョフリー・ケインズ(ジョン・メイナード・ケインズの弟)という医師は何冊もブレイクについて本を出版しており、すばらしいブレイク研究者だった柳宗悦が別の方向へ行ったことを残念がっていた、など話題も豊富。 →2022/05/09

ホシ

18
06年と11年に行われた講演をまとめたもの。大江氏の文学論、創作裏話、交友関係の話を交えつつ、氏がこれまでに影響を受けてきた本(と人物)を語るという趣向です。大江ファンは必読の一冊。ただ私は大江作品を通読したことがなく、紹介される作品も『ポオ詩集』『神曲』や洋書など親しみやすいとは言いにくい作品が多く、途中からは斜め読みで、あまり頭に入ってこなかった^^;影響を被ったエドワード・サイード氏や大江氏の「愛国心」の捉え方が気になりました。マークトウェインの『ハックルベリイフィンの冒険』も読まねば(恥)。2021/07/30

ナハチガル

15
高校に入って初めて本屋で本を選んで買うという体験をし、占領軍の図書館でこっそりポーの詩を写とり、一生持ち続けるつもりで大事な本にインクで書き込みをし、3年ごとに対象を変えて特定の作家を読み込み、意味の分からない詩は暗記し、新しい文体を見つけ、売れる当てのない小説を書き続ける。手すさび的な読書案内と思ってつまんでみたら、腰が抜けるほど重い漬物石だった。ノーベル賞作家なのに村上春樹に脅威を感じておられたり、自虐的でグチが多いのもいい。タイトルはこれ以外考えられないが、装丁は写真じゃない方がいいと思う。S。2021/11/05

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