出版社内容情報
岡本太郎と敏子をモデルに描く究極の愛
戦後の混乱が残る昭和20年代、短大を卒業し働いていた笙子は、強烈な個性を放つ建築家の健介と出会う。岡本太郎のパートナーが自身と太郎をモデルに描く、究極の愛の物語。(対談/よしもとばなな)
内容説明
戦後の混乱がまだ残る日本、21歳の私はその男に出会った。目覚しい仕事ぶりで注目を集める男は、野獣のように私を襲い、体を奪う。しかし、私の胸に溢れたのは、男への哀しみと愛しさ。その日から二人は運命の愛に結ばれた男と女になる。目眩く愛と官能の夜を過ごしながら、一方、私は仕事の才能を花開かせていく。しかし、突然悲劇が二人を…。秘書、養女として岡本太郎を支えた著者が挑んだ愛の衝撃作。
著者等紹介
岡本敏子[オカモトトシコ]
1926年、千葉県生まれ。東京女子大学卒。在学中に新進芸術家岡本太郎に出会い、出版社勤務を経て、太郎の秘書となる。以後、96年の太郎の死去まで約50年、制作に立ち会い、取材に同行するなど、行動を共にする。後年、太郎の養女となり、没後は岡本太郎記念館館長として活躍、“岡本太郎ブーム”を作り上げる。2003年、『奇跡』を刊行、77歳の小説デビュー作と注目を集める。05年4月20日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミナコ@灯れ松明の火
22
フィクションという位置づけではあるけれど、どうしても岡本太郎氏と登場人物の姿が重なって見える。特に後半では太郎氏(違う)は登場しないのに、どこまでも太郎氏(だから違う)を求めていた主人公の姿には心打たれるものがあった。愛した男のすべてを、清濁併せ呑むことのできる器の大きさと強さがまぶしい。死してなお、共に生きる姿には感服。愛情が決して綺麗ごとではなく、リアルに描かれていて読みごたえがあった。2011/08/05
にがうり
14
本棚整理中。わが家のは単行本。敏子さん77歳の処女小説。ん〜官能的。自伝的小説ともいえそうですが、羽田謙介を太郎さん、笙子を敏子さんにまんま置き換えるのは野暮な気も。子供の頃から雲の上を歩いているみたいと言われ、ぼうっとしているのに仕事はできて、一流の男性たちから次々に惚れられて、あたくしそんなつもりではと言いつつ関係を持ち…って、同性からは好かれないタイプですぞ笑。実際笙子の心を許せる女友達って登場しないし。男性は選り取りみどりでも女友達がいない人生は幸せなのか?と、本題とはズレたところに反応。2020/10/27
なつ
10
衝撃的な本として色んな所で紹介されているけど私はそうは思わなかった。皆こんな風に自分と大切な人とのことを文章として公にしないだけで多かれ少なかれ同じなのでは?と。だって、皆、誰かを愛しいと思ったり、もっと愛したいとか愛されたいとか、守りたいとか扶(たす)けたいとか思う訳で、そこからその人と触れ合いたい、いつも一緒に眠りたい、と切実に想い、そしてその行為を1つずつ実践していく。それってとても自然なこと。敏子さんはそんな誰もが思っていること、誰もがしてることを女性代表女性目線で書いてくれただけ。そう思います。2015/07/19
Ciel
9
官能小説かと思った。序盤で主人公の最愛の人がなくなってしまったので、ここからどうなるかと思ったけど、そこからが始まりだった。最愛の人は傍にいなくても想っていれば人間は強く生きられるんだと感じた。岡本太郎の作品を実際に観てみたいとも思った。2014/10/26
もか*
7
本当にたった一言では語れない位に、愛していたんだな。全ての事をありのままに受け入れ行動するって凄い事だと思う。2011/08/02