内容説明
面白い落語を聴きたければ演者を選べ!年間1500席以上の高座に足を運び、「今こそ落語の黄金時代」と主張する著者が「誰を聴きに行けばいいのか」を伝授する、画期的な同時代的落語論。随所に盛り込まれた高座の再現に泣き笑いしながら、ナマで聴きたい「旬」の噺家の見どころ聴きどころが楽しめる。「観客の目線」による鋭い分析が大きな話題を呼んだ革命的名著、文庫化にあたり大幅加筆。
目次
第1章 この落語家を聴け!(二十世紀から二十一世紀へ;談志と小三治;立川流四天王;いま、観ておきたい噺家達)
第2章 二十一世紀の落語家(二十一世紀の人気者達;二十一世紀の寄席;立川流と圓楽党)
終章 落語は「今が旬」なエンターテインメント
著者等紹介
広瀬和生[ヒロセカズオ]
1960年生まれ。東京大学工学部卒業。現在、ハードロック・ヘヴィメタル専門の月刊音楽雑誌「BURRN!」編集長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
落語の愉しみ本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もりくに
40
「訊け!」などと居丈高に言われれば、おとなしい私でも「何を!」となるが、読んでみると各落語家論が単なる経歴紹介的なものでなく、「高座」を実際に訊いているような表現の豊かさがある。年間1500席以上の「高座」に足を運んでいると聞けば納得し、「はい。訊きます!」となる。せっせと「高座」に足を運ぶのは、「現在進行形」の落語を訊くため。「志ん生」、「志ん朝」、「談志」などの名人は、「CD」でゆっくり訊けばいい、と。「落語一般」などというものは存在せず、「誰某の落語」というものが存在する、と。だから「高座」へ!→ 2019/06/11
YONDA
14
十年前に刊行されたのでタイムラグがあるのは仕方がないが、出てくる落語家は現在でも人気落語家。広瀬さんの落語愛が十二分に伝わってくる。2007年の談志の芝浜は見たいなぁ~。2022/09/22
遊々亭おさる
14
地方在住者にとって落語という芸能に生で触れる機会はなかなか無いのではなかろうか。主に首都圏で開かれる落語会、ピンポイントで面白い噺に辿り着ける方法は?年間1500席以上の高座に通い続ける落語マニアの著者が推す今、聴いておくべき旬(06年当時)な落語家の紹介本。古典落語を守り抜く本格派から異端の新作派まで幅広い品揃えで逆に迷いが深くなるような。談志さんと小三治さん、まったくタイプの違う名人上手を素材に上げて語られる意外な共通項から見えてくる落語論には、人が落語に惹かれる理由の本質があるか。後は好みの問題で。2016/12/20
まあさん
11
ロック系を扱う音楽誌の編集長という筆者が、落語会や寄席に通い詰めた経験をもとに紹介してくれる内容で、説得力があります。私にとっては、立川流の噺家さんに目を明かしてくれたことに感謝です!談笑師の古典の解釈に驚き納得。「談春五夜」にも伺い、そこで聴いた「慶安太平記」と「居残り佐平次」の素晴らしさにすっかり談春師の大ファンになりました。沢山の噺家さんを挙げてくれていて、私の贔屓のさん喬師、喬太郎師はもとより白酒師、菊之丞師、白鳥師にもしっかり「この落語家を聴け!」と言ってくれていることにも大満足の一冊でした!2022/12/29
imagine
8
著者はへヴィメタル雑誌「BURRN!」の編集長。私もかつての愛読者。鋭い批評の持ち主とは承知していたが、超優良の落語家紹介本!精密な描写が個々の咄家の特徴をうまく伝えてくれる。立川流と落語協会の関係も理解できた。落語の人気を一過性のブームにしてはならぬという熱意は、ヘヴィメタルの栄枯盛衰をよく知る者ゆえか?限られたジャンルの中で良質を聴き分ける能力は、メタルと落語に共通しているのかもしれない。2017/01/30