内容説明
交通事故に遭った男女を襲う“無関心”という恐怖を描く表題作、引きこもりの果てに家庭内暴力に走った息子の殺害を企てる夫婦の絶望(『倅解体』)。孤独に暮らす女性にふりかかる理不尽な災禍(『仔猫と天然ガス』)。定年を迎えたその日、同僚たちに手のひら返しの仕打ちを受ける男のおののき(『定年忌』)ほか、理解不能な他人たちに囲まれているという日常的不安が生み出す悪夢を描く14編。
著者等紹介
平山夢明[ヒラヤマユメアキ]
1961年神奈川県生まれ。週刊誌記者等を経て、94年『異常快楽殺人』を刊行。続いて長編小説『SINKER―沈む者』『メルキオールの惨劇』を発表し、高い評価を得る。2006年「独白するユニバーサル横メルカトル」で第59回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。同名の短編集は07年版「このミステリーがすごい!」の国内第一位に選ばれる。10年には『ダイナー』で第28回日本冒険小説協会大賞を受賞。映画監督、漫画原作など幅広いジャンルで活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
456
オチも何も無いのに何故か面白い作品ばかり。『仔猫と天然ガス』『人間失格』辺りは本当に何も考えずに書いたとしか思えないのに、インパクト大で心に刻まれる。『倅解体』『たったひとくちで』のヒンヤリする怖さも良い。全体的に、ヒネリが一切なく、結末の予想が簡単につくものや、何度も言ってしまうがオチの無いものばかり。その分、剥き出しの平山ワールドが矢継ぎ早に繰り出され、野趣に溢れており嫌いではない。タイトルが意味深なのか見当外れなのか良く分からない作品『おふくろと歯車』『ダーウィンと~』誰か解説して欲しい。2017/01/17
おしゃべりメガネ
170
いや、なかなか思ってた通り?へヴィな一冊でした。グロテスクな描写させたら無双な平山さんの14からなる短編集です。ショートショートな構成なので1話のボリュームが少なく読みやすいのですが、そのボリュームとは裏腹にかなりガツンときます。読めば読むほど平山さんの世界観にハマっていくのがわかります。1番キツかったのは『定年忌』で、コレは読み終わってもしばらく寒気がぬけなかったです。表題作のハラハラ感も最近味わったコトのないレベルで、つかみからバッチリでした。日常の読書にはない、刺激をお求めの方はぜひオススメします。2020/03/11
absinthe
130
悪趣味だなぁ…と言いながら止められない止まらない夢明ワールド傑作短編集。表題作と『ダーウィンとべとなむの西瓜』が良かった。読みながら、話をこっちに持って行って欲しく無いなぁと思うツボを的確について、悪い方へ悪い方へ話を進めていく。あの名作『ダイナー』の著者らしさが全開で読書に常に嫌な予感をさせ続け、少しずつ闇へ引き込んでいく。明るいテーマ曲を流しながら人々を殺戮する慰安ドロイドの物語『クレイジーハニー』などB級感たっぷり。2024/07/11
ゆのん
124
14編から成る短編集。最近、平和(?)な内容の本ばかり読んでいたせいかガツンときた。グロいし血や肉片などの登場が多いしで食事しながらの読書は辛い。1編目で「うわー」となった。「えっ?」ってなる程のひとでなしが登場するも重さは感じずむしろ軽い感じなのが嫌悪感を増幅させる。それでも読んでしまう、読まされてしまうのが平山夢明の凄い所。2152019/07/08
ゴンゾウ@新潮部
122
人間の残酷、不条理、無慈悲が全て盛り込まれた短編集。普通なら救いがありそうな結末もそんなことはない。奈落の底に突き落とされる。だが軽快なストーリーなのか不思議に嫌悪感はない。ホラー小説を読んでいるというよりはRPGをやっている感覚に近い。こんな感覚に慣れてしまうことの方が恐怖を感じる。 【ナツイチ 2019】2019/09/11