内容説明
大型台風23号が接近。東京上陸はないとの気象庁発表。が、日本防災研究センターの玉城はコンピュータ・シミュレーションで24号と23号が合体、未曾有の巨大台風となって首都圏を直撃することを予知。要請により荒川防災の現場に入る玉城。設計担当者として建設中の超高層マンションに篭もる妻・恵子。残された子どもたち。ひとつの家族模様を軸に空前の規模で東京水没の危機を描く、災害サスペンス3部作、堂々の完結編。
著者等紹介
高嶋哲夫[タカシマテツオ]
1949年岡山県玉野市生まれ。慶應義塾大学工学部卒業、大学院修士課程修了。日本原子力研究所研究員を経て、カリフォルニア大学に留学。79年、原子力学会技術賞を受賞。94年「メルトダウン」で第1回小説現代推理新人賞を受賞。99年、「イントゥルーダー」で第16回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
59
今は2016年。8年も前に書かれている大型台風は今年もやってきた。今迄は西日本と九州がいつもの台風街道。それが北海道や東北に。大雪には慣れておられても、このような台風などお目にかかったことなど無いだろう。自然災害の映画は洋画で堪能するくらい観てきた。昔々の話が今現実に起こっている怖さ。いずれ人類は自然から復讐されるのか・・。いや、そんなことより、災害への心構えとしてこの本を読んでおいても確かに損はない2016/09/21
GaGa
32
正直読み終わるまで随分と時間がかかった(笑)と、言うのは主人公の科学者と建築士であるその妻、その子供、主人公の母、主人公の弟、それら中核となる人々の関係性や性格が誰一人好きになれず、非常に読み進めるのが苦痛だった。展開も『荒川防災研究』がどれほど凄いのよ、という感じで今ひとつリアリティがなく、パニックの中の人々がどうにもステレオタイプばかりで退屈。東京で水没するのは中野が最初というところだけが納得できた。いろんな意味で残念。2010/11/10
BUBI
27
「TSUNAMI」はスケール感が半端なくて驚きましたが、私はこの「東京大洪水」の方が好きかも! 身近な場所が舞台なので、一段と身に迫る感じですし、地震や津波ほどでなくても、台風の被害もまた最大級の警戒が必要で、そうでないと真面目に東京が水没するんだよなぁ。災害が頻発した2016年、台風10号がUターンして東北に上陸した時も前代未聞ででしたし、まったく何が起こるか分からない。鬼怒川の決壊で常総市が水没したのは2015年か…きっと現実の現場でもいろんな人が必死でがんばっているのだと思うと胸が熱くなります。2018/03/05
mayumi
25
災害3部作。今作は大型台風により荒川が決壊。防災研究センターの玉城は被害を最小限に食い止めるため奔走する。一方、玉城の妻で一級建築士の恵子は建設中の荒川沿いに建てられた超高層マンションで作業にあたる…というストーリー。あまりこの夫婦に共感できないんだよね。使命感を持って仕事をするのはわかるけど、子供を放っておきすぎ。これがハリウッド映画だと、現場は放り出して家族助けに行くんだけどね。まああれもどうかと思うが。それにしても、鉄橋やら地下鉄やら爆破しすぎ。あれはちょっとリアリティないなあ。2023/05/04
タルシル📖ヨムノスキー
25
〝M8〟〝TSUNAMI〟に次ぐ災害サスペンス第三弾だが、物語の流れとしては〝M8〟と〝TSUNAMI〟の間の物語。今度は巨大台風が首都東京を襲う。この本を読んで、まず2015年9月の鬼怒川の氾濫を思い出す。当時「鬼怒川の氾濫は、都内で利根川を氾濫させないためにどこぞが指示した」という噂を耳にしたっけ。荒川や隅田川が氾濫していくところは手に汗握るし、ブルドーザーまで操縦しちゃう主人公玉城の妻はすごいと思うのだが、最後は仕事ではなく子供たちのそばにいてほしかったと思う私は、古いタイプの人間なんだろうか。2020/07/06