内容説明
外国の実情を知ろうと、アメリカ密航を企て、失敗した吉田松陰は萩の獄に幽閉された。しかし、出獄後は小さな私塾「松下村塾」で「誰でも持っている長所を引き出すのが教育である」という信念の下、高杉晋作、山県有朋、伊藤博文など、わずか2年半で幕末、維新をリードした俊傑を生み出した。「魂の教育者」松陰の、信念に基づく思想と教育観を感動的に描く長編。
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
1927年10月東京生まれ。44年海軍土浦航空隊に入隊するが翌年終戦。戦後は東京都庁に勤務。知事秘書、政策室長などを歴任。退庁後は歴史小説やエッセイを執筆。組織と人間をテーマに講演活動も積極的に行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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GaGa
36
下級武士や足軽の子供で、家督を継げず、商才などがなかったものは牢獄へ入りただ飯をいただくということを初めて知った。一流、二流の者は若くして散るか、目をつけられて殺されるかしてしまい、三流、四流の人物が結局維新を成し遂げたとあるのはなるほどと思った。童門氏の作品は小説として読むよりも解説書としての価値がある。2011/08/31
ケイポン
28
以前から興味があった吉田松陰。今年の大河ドラマの設定の影響もあり選んだ。◇現実に役立たない学問は意味はないという考え方は、目から鱗だった。◇松下村塾での題材は、現実の事件を取り上げ、どうしておこったのか、どうしたら解決できるのかと、過去の良書などを参考に話し合ったという。◇メモ魔、読書家、対面主義など、様々な松蔭の魅力がわかった一冊だった。2015/01/21
aika
23
「至誠」とは、なんて素敵な響き、そして崇高な意義を持つ言葉だろう。そんなことを考えました。ひたむきという言葉がこれほどまでに似合う人はいないと思います。完全にブームに乗っかった形ですが笑、世界の中の日本という広い見地に立ち、常に勤勉さと誠意と清廉な志で激動の時代を駆け抜けた松陰の生き様に感激しましたし、刺激を受けました。最期の時も松陰らしさで溢れていて、まさに大和魂の人だと思います。逸話の中でも、塾生の久坂玄瑞と吉田栄太郎に興味がわいたので、他の関連本も読んでみようと思います。2015/02/18
ひろ
19
松下村塾を開き、短期間の中で多くの維新の英傑を生み出した無類の教育者として有名な吉田松陰。三年間で千五百を超える読書量、門人を「ともに学ぶ同士」とする姿勢、常に相手のことを理解しようとする努力などなど、その純粋で真摯な生き様に大きく感銘を受けた。驚いたのは、頭でっかちな勉強家というわけでなく、飛び抜けた行動力を持ち合わせた人物だったという点で、松浦松洞への「大いに旅し、見聞を広めよ」という言葉が心に沁みた。萩の旅行の予習にと思い手に取ったが、思いがけず良著に巡り合えた。2015/04/21
Book Lover Mr.Garakuta
14
図書館本:日本の近代の一翼を担う吉田松陰の物語。彼の残した功績は大きく、現代日本の礎を置き土産にしたようなもんだ。2021/02/20