出版社内容情報
今、この作家たちが面白い! 吉川永青、朝井まかて、安部龍太郎、米澤穂信、佐藤巖太郎、中島要、矢野隆、荒山徹、伊東潤、川越宗一、諸田玲子。2018年度の小説誌に発表された胸を打つ傑作11編!
内容説明
2018年発行の文芸誌に発表された200余の歴史・時代小説の短編から、これぞ傑作の太鼓判を押す11編を収録。大食い競いの顛末から徳川初期の時代性を映し出す吉川永青「一生の食」に始まり、幕末の世を舞台に武家の妻女の切ない恋を描く諸田玲子「太鼓橋雪景色」まで、一気に読ませる。名手たちが濃やかにつづる、情や志が胸を打つ、年度版アンソロジー。コレクションとしても最適なオリジナル文庫。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
45
時代小説のアンソロジー、2019年版。時代小説作家数ある中で選び抜かれた精鋭とも言うべき方々の作品はどれも唸らされるものだった。過去のものにさかのぼって読んでみようかな。★★★☆☆2019/07/30
baba
33
時代小説アンソロジー。お馴染みお気に入りの作家さんから初めての作家さんまで多彩。内容も神話や中国、意表を突くものまで様々、楽しめました。2019/08/21
Mark
24
様々な人間模様を、様々な時代背景に投影するとこれまでになかった物語が生まれるものですね。本冊の中では、『太鼓橋雪景色』が最も印象に残りました。2023/05/30
サケ太
24
多くの作家の小説を読める喜び。どれもこれも特徴的なのが面白い。コミカルさを感じさせる『安寿と厨子王ファーストツアー(米澤穂信)』、石田佐吉(三成)と黒田官兵衛のコンビで戦国的ミステリーものという異色作である『黄泉路の村(矢野隆)』、クトゥルフと三国志の時代を絡めた『沃沮の谷(荒山徹)』、野太刀を抱え倭刀(エートー)と呼ばれる倭寇の女性を描いた『海神の子(川越宗一)』の四編がお気に入り。歴史小説のあり方、『歴史と文学』『史実と創作』、制約のある中での物語が面白い。2019/06/29
マッピー
18
それにしてもいろんな時代小説があるものです。魏と高句麗の戦いを背景にクトゥルフ神話を描いた『沃沮の谷』や、明や平戸島の松浦氏と海上貿易の主導権を争う倭寇を描いた『海神の子』、有岡城から解放された黒田官兵衛の昏い安楽椅子探偵ものなど、時代小説の概念が吹っ飛ぶようなラインナップ。その中でも断トツに異端なのは、『山椒大夫』をモチーフにした米澤穂信作品。筒井康隆?って思っちゃったわ。一番時代小説らしいのは『夫婦千両』。庶民のささやかな話なんだけど、どう展開するのかどきどきしながら読みました。2023/07/12