内容説明
世界遺産・那智の滝を登攀しようとして逮捕された著者。彼は、最も野蛮で原始的な登山といわれる沢登りにこだわり続ける“外道”クライマーだ。逮捕にもめげず、「誰もやったことのない登山」を目指した46日間のタイのジャングル行では、道に迷い、激流に溺れかけ、飢えに耐え、大蛇と闘うハメに…。生死の境目ギリギリの状況を描きながらも、そのユーモラスな筆致が光る傑作冒険ノンフィクション!
目次
第1章 逮捕!日本一の直瀑・那智の滝
第2章 タイのジャングル四六日間の沢登り(その一)
第3章 日本最後の地理的空白部と現代の冒険
第4章 台湾最強の渓谷 チャーカンシー
第5章 タイのジャングル四六日間の沢登り(その二)
第6章 二つの日本一への挑戦
第7章 タイのジャングル四六日間の沢登り(その三)
最終章 沢ヤの祭典 ゴルジュ感謝祭
著者等紹介
宮城公博[ミヤギキミヒロ]
1983年愛知県生まれ。凸版印刷、福祉施設職員を経て、現在はライター、登山ガイド、NPO富士山測候所職員。趣味で行っていた映像制作をきっかけに20歳の頃から山に親しむ。ヒマラヤ、カラコルムでのアルパインクライミングから南国のジャングルでの沢登りにいたるまで初挑戦にこだわり続け、国内外で数々の初登攀記録を持っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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gonta19
117
2019/3/26 Amazonより届く。 2020/11/11〜11/18 那智の滝登攀事件である意味有名になった宮城公博さんの冒険譚。いやいや、破天荒な人がいたもんだ。まあ、危険な冒険をするには、どこか外れたところがないとできないんだろうな。角幡唯介氏の解説も良かった。2020/11/18
マリリン
38
2・5・7章に分割された(分割した意図不明)「タイのジャングル46日間の沢登り」や、3章「日本最後の地理的空白部と現代の冒険」4章「台湾最強の渓谷」6章「二つの日本一への挑戦」はとても興味深く面白い。沢や・ゴルジュ(喉を意味するらしい)...という言葉も本書で初めて知った。沢やは、渓入りすると登るだけでなく懸垂下降や川を泳いだり流れを利用して移動したり、当然藪漕ぎもする。日中活動が鈍り夜元気になるのは熱中症...厳しい自然の中で生きるために勘を研ぎ澄まし、環境に順応しすぎるとそれも鈍る。面白い一冊だった。2020/07/19
Nao Funasoko
30
いやはやこんなハードコアな外遊びの世界があるのかと驚く。文章は正直言って同人誌レベルのものではあるが、それ故に狂気と本気の紙一重の面白さが伝わってくる。「こんな冒険アリ!? 面白くないところは1ページもありません」帯の煽り文句に偽りなし。"小学生並みのプリミティブな会話"というフレーズはいつかどこがでパクりたい。(笑)2019/03/30
Kazuko Ohta
27
私の沢登り体験はほぼハイキング。著者の沢登りにそんな緩いイメージ皆無。なにしろ「外道」ですから。衣類が濡れることは死に直結するからと素っ裸で氷水の中を歩く。タイのジャングル46日間は特に凄絶。ワニに怯え、ヘビをぶった斬り、サソリに噛まれ、アリに襲われる。何度も心が折れるフォトグラファー高柳くん。殺したくなることはあっても、やっぱりふたりでよかった。う○こネタは誰でも笑うから反則だと思うのですが、そう思いつつも笑ってしまった。うん、上流から人のう○こが流れてくるのは嫌だ(笑)。この旅に私は猛烈に惹かれます。2019/04/02
活字スキー
23
【沢ヤの力を見せてやる!】2012年の夏、那智の滝を登攀しようとして捕まったアホウの一人にして「外道クライマー」と呼ばれる男、宮城公博。本書のことは角幡さんの解説から知ったが、まさしく「誰も行かない所に行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」エンタメノンフの系譜だろう。ゲテモノ好きの自分としてはめちゃくちゃヒットしたのだが、その言動は人として大いに問題ありまくりなので、巻頭の人名・用語集をざっと眺めて「触らぬバカに祟りなしだな……」と思った人は読まなくていいと思う。 2020/08/30