出版社内容情報
沖縄の日本返還を目前に控えた1970年。公安警察官・大城は内閣総理大臣からの直接の命を受け、沖縄に潜伏することに。時を同じくして、那覇では沖縄独立の動きを見せる平良が、不穏な動きを…。幻のノワール巨編、待望の書籍化。
馳 星周[ハセセイシュウ]
著・文・その他
内容説明
1970年。本土復帰を目前に控え、沖縄は混沌としていた。公安警察官・大城は、警察上層部よりさらに上―内閣総理大臣から直接の命を受け、沖縄に潜伏することに。時を同じくして、那覇では沖縄独立を目指す平良が、賢秀塾を率いる古謝賢秀の指示のもと、不穏な動きを見せ始めていた。大城は、円滑な返還を実現すべく、時に犯罪行為にも手を染め、諜報を進める。彼は、どこまで堕ちていくのか。連載から12年。幻のノワール巨編ついに書籍化!
著者等紹介
馳星周[ハセセイシュウ]
1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒業。96年デビュー作『不夜城』で第18回吉川英治文学新人賞、98年『鎮魂歌』で第51回日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で第1回大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
147
馳星周は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。最近書いた作品のイキナリ文庫化かと思いきや、十数年前に書いたお蔵入り作品でした。政治的要素が盛り沢山なので、集英社が忖度して出版しなかったのでしょうか?いかにも馳星周らしい作品で一気読み、続いて下巻へ、トータルの感想は上下巻読了後に。【読メエロ部】 2018/06/14
Tsuyoshi
65
本土から派遣された公安の大城と独立国を目指す私塾に属する平良の目線を軸に復帰目前の沖縄の様子を描いた作品。土地買い上げ・反米運動・独立へのクーデター等々、復帰後の沖縄を巡り様々な企みを持った人間たちの動きが同時進行で描かれた文体はスピード感があって先が気になり読み進めたくなる。下巻へ続きます。2018/06/04
巨峰
60
登場人物は一人も被ってないけど、「弥勒世」の続編。主人公は沖縄出身本土育ちの公安警察官。彼の工作活動は興味深い。本格的なスパイ小説はあまり読んだことないけど、今後読んでみようかと思った。前作の琉球共和国軍の残滓が残る中、アイツが生き残りアメリカにいるのが、大きな驚きでした2021/12/17
keith
24
返還前の沖縄。独立運動を監視するために本土から送り込まれてきた公安の大城。独立を目指す集団活動に身を置く青年平良。政治と利権が絡み一筋縄ではいかない展開。下巻に続きます。2018/08/04
ふう
15
一気読み。おぉ昔のひりついた馳だなあと思ったら2004年連載(案外寝かせてたなあ)。まるで違った立場ではあるが確実に破滅に向かうであろう二人の男を主人公に、海風ではなく土埃舞う沖縄が描かれる。俺は大丈夫なのか?と問いつつ、きっと俺は大丈夫だと無理やり納得させながら進む男たち…沖縄の未来はわかっているけど彼らの運命はまだわからない。ただ確実に堕ちていくはず。だからこそ見届けなくちゃ。下巻へ。2018/06/09