出版社内容情報
ダブルスを組むことになった中学2年生の孝司と中山。反発し合う2人がテニスを通じてお互いを知り、試合に向けて鍛錬していくスポーツ成長物語。第48回講談社児童文学新人賞佳作受賞作。(解説/杉山愛)
内容説明
「こいつにだけは絶対に負けたくない!」テニスの練習試合で他人を見下すような態度の対戦相手・順一を見て、中学2年の孝司は無性にそう思った。ところが、ある大会で2人はダブルスを組むことに。ハンデがあり、性格もプレーも正反対な彼らは、不器用ながらも、本気でぶつかり合う。そんな中、大会前にある事件が起こり…。一途な情熱を鮮やかに描く、第48回講談社児童文学新人賞佳作受賞作。
著者等紹介
福田隆浩[フクダタカヒロ]
1963年生まれ。児童文学作家。長崎県の特別支援学校勤務。2003年『この素晴らしき世界に生まれて』で第2回日本児童文学者協会長編児童文学新人賞を受賞しデビュー。07年『熱風』で第48回講談社児童文学新人賞に入選(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっさん
115
★★★☆ 聾唖と難病──それぞれハンデを抱える二人の中学生がテニスでダブルスを組む話。何度も衝突する二人だが、お互いのハンデがもたらした窮屈な思いが共鳴し、やがて心から理解しあう。ただの青春ものにあらず!2019/10/09
5 よういち
76
聴覚障害のある孝司は、ある日、テニス会に入会してきた中山と対戦し完敗する。人を馬鹿にしたような態度をとる中山は、頭髪が抜けるという病気を抱えていた。二人は市大会でダブルスを組むことになるが、当然の如く、衝突が始まる。◆スポーツの試合は相手の弱点をつくことでもある。二人も対戦相手に弱点を攻められる。しかし障害や病気は弱点ではない。彼らは偏見を乗り越えるため、徹底的に自分の言いたいことを相手に伝えようとして激しくぶつかってきた。それがついに試合でお互いを思う気持ちとして結実する。◆気持ちが震える良い作品だ。2018/12/31
masayuki
8
テニスに青春をかける少年たちの物語。と単純にそう思って購入し、そんな先入観で気軽に読み始めた。ところが実は少年たちはそれぞれ重い事情を抱えていた。孝司は聴覚に障害があり、順一は頭髪が抜ける病気を抱えていた。性格もテニススタイルも違う二人がダブルスを組み、因縁の試合に臨む。読みながら二人を心から応援している自分がそこにいた。タイトルの「熱風」が、読了後は「爽風」に変わることを保証します。ご一読あれ。2017/12/12
HARUKI
5
中学生がソフトテニスのダブルスを組む話。よくある青春根性友情話と思い読み始めるが、違っていて、けっこう深い。思春期を迎えた少年2人。この時期 子供が悩むことは 人に正しくものを伝えられなこと、またみんなとは違う外見だ。このハンデをそれぞれ持った2人が傷つき、傷つけあいながらも成長していく過程が熱い。大人にはなんでもないことにこの時期は傷つくのだなと遠い昔を想う。大人には物足りない内容かもしれないが、心が洗われる。2019/10/30
まめもやし3
5
感動した、と簡単に言えないくらい苦しい部分もあった。実に熱い物語。2018/07/08