出版社内容情報
青山文平、折口真喜子、花房観音、植松三十里、奥山景布子、武内涼、西山ガラシャ、村木嵐、小松エメル、仁志耕一郎、谷津矢車、吉川永青。2016年に発表された傑作時代小説12編を収録。(解説/末國善己)
内容説明
2016年度発行の文芸誌に掲載された作品群から精選した12編を収める極上の時代小説アンソロジー。実力派作家たちが、その力量を余すところなく発揮。誰もが知る武将から名もなき市井の人々まで、それぞれの時代をそれぞれのひたむきさで生きる姿と繰り広げられるドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
baba
28
時代小説好きにはたまらない作家の方々の短編集。中には長編でじっくり読みたかったものもある。青山文平「役替え」折口真喜子「歳神」植松三十里「流人富士」奥山景布子「鈴の恋文」仁志耕一郎「へうげの茶」吉川永青「不屈なれ」が好み。2017/07/21
Mark
24
歴史小説の短編は、隙間時間を埋めるのに好都合。時代も舞台も、そして主題も多様な作品が集められていて楽しめます。この一冊では、「伊賀越え」が印象的でした。史実自体はよく知られている話ですが、信康を救えなかった自責の念を抱きながら家康に随行する酒井忠次の心情を絡めるのは斬新でした。そして、家康の律義さがやがて太平の世へと導く希望を与えてくれます。2023/04/22
マリリン
17
日本文藝作家協会が編集した本書は、何となく気になり手にしたが、殆ど知らない作家の12作品は大変読みごたえがあり楽しめた。印象に残った作品は、『歳神』折口真喜子、『流人富士』植松三十里、『越後の女傑』武内涼、『へげうの茶』仁志耕一郎。歴史的背景も含め心が温かくなる。花房作品も素晴らしかったが、既読の作品かもしれない。このシリーズは他の年のものも読んでみたい。2018/06/10
山内正
6
四年前に浅草寺も火事で焼け 大名屋敷に火消し話を持ち掛けた 徒目付頭雅之は動く 半席を脱し旗本にと直人は思う 勘定方にと気持ちは動く 別御用を頼まれ役得の旨味を知る者も多くいる 殺した奴は牢屋送りとして 雅之が話しだす何故殺されたかは 残ったままだ どうするおめぇなら 他で断り続けた身の狭さに気付かされる、武士の嗜みを忘れていたと 家録を失った友が過ちを起こし未遂 に終わる、江戸追放は甘いかえ 雅之は問う、勘定所の約替えはなし ずっとここにいろ 何なら行く事出来るが、 結構です今のまま そうかえそうかえ2020/03/27
おーね
6
それぞれの短編がそれぞれの視点で描く時代。好みも少しは分かれますが、楽しく読みました。2017/08/01