出版社内容情報
ニセ領収証、人事異動、出世競争、単身赴任、上司達──。会社生活の日常に潜む思いがけない恐怖をリアルに描く。“会社員"の本質を抉り、笑いと戦慄が交互に襲う5編の会社ミステリー。(解説/山前譲)
吉村 達也[ヨシムラタツヤ]
内容説明
年上の部下と年下の上司、単身赴任先での浮気、領収書のごまかし、人事異動の内示、お偉いさんとの気づまりな会話―。サラリーマンにとって決して避けて通れない身近なテーマ。喜劇と悲劇がつねに紙一重という、綱渡り的会社員生活の日常に潜む、思いもかけない恐怖をリアルに描く。身につまされる笑いのあとに、背筋も凍る戦慄、読みだしたら止まらない興奮の五編。ブラックな会社ミステリー。
著者等紹介
吉村達也[ヨシムラタツヤ]
1952年東京都生まれ。一橋大学卒業後、ニッポン放送、扶桑社勤務を経て、90年推理作家に転向。2012年5月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
169
吉村達也さんの世の中のサラリーマン戦士の皆さんにとって誠に身につまされるブラック&シリアスなジャパニーズ・ビジネスマン・ミステリ短編集です。自分が悪くて自業自得なのは当然の事として自分は無実なのに不幸が襲い掛かったりもする「サラリーマンはつらいよ」な5つの物語ですね。でも徹底的に深刻でなく何処か緩くて笑えちゃうのが著者のライト感覚な持ち味の良さで常に安心して楽しめますよね。初め3つはクビに逮捕に離婚と人生の敗残者の道まっしぐらですが、それにも増して残り2つは死の影が漂う絶体絶命の運命なのが誠に不憫ですね。2019/12/28
mr.lupin
65
サラリーマンのちょっとブラックかかった5編からなる短編集。『ま、いいじゃないですか一杯くらい』『あなた、浮気したでしょ』『それは経費で落とそう』『どうだ、メシでも食わんか』『専務、おはようございます』 どれもこれもありそうなフレーズに秘められた題材で納得の面白さでした。でも、もし自分の身に降り掛かったら怖い話。 ☆☆☆☆☆2018/05/06
にいにい
55
「これは経費でおちません」に対抗して、出版されたのだと思っていたら、ずっと前に書かれた吉村達也さんの作品。吉村さんは、多くの作品を残されているけど、読むのは初めて。本作は、サラリーマンを主人公にした5篇のちょっとブラックでミステリー風な短編集。各タイトルも、会社内でよく使われるフレーズで、そこから、面白い着想で、ささやかなブラックが味わえる。 文体も好きだな。たまにはこういうのも悪くない。「どうだ、メシでも食わんか」が一番だったかな。2017/08/02
のんちゃん
46
サラリーマンを主人公にした会社ミステリー。短編5作収録。タイトルを見てお仕事小説と思い込み、読み始めたが、これがなかなかのブラックエンドのミステリーだった。お話の舞台が1990年代なので、少々古い感じは否めないが、ストーリーはサラリーマンの哀感を挟みながらも、時にクスッと笑わせて、最後はゾクっとさせて、エンド、と飽きさせない。面白い作家さんに出会えたが、すでに故人と知って、残された作品を楽しみにしたいと思った。2018/07/04
Tadashi Tanohata
43
タイトルに惹かれて、箸休め的な感覚で読み始めるもどうしてどうして。私にも身近な「サラリーマンあるある」、ミステリー絡むので「サラリーマンあるなし」をしっかり読ませる。キレもあるのでリズムよく読了する。作者の実サラリーマン経験がベースになったとあるが、新作を望めないのは残念。さて、引出しの領収書どうしよう。2019/02/17