出版社内容情報
このミス大賞優秀賞受賞作家・友井羊が集英社文庫初登場! 吃音があって引っ込み思案の女子高生、菓奈が周囲の事件に絶妙の推理力を発揮。お菓子作りの科学を利用したミステリー。(解説/青柳碧人)
友井 羊[トモイヒツジ]
内容説明
高校生の菓奈は人前で喋るのが苦手。だって、言葉がうまく言えない「吃音」があるから。そんな菓奈が密かに好意を寄せる真雪は、お菓子作りが得意な究極のスイーツ男子。ある日、真雪が保健室登校を続ける「保健室の眠り姫」こと悠姫子のために作ったチョコが紛失して…。鋭い推理をつまりながらも懸命に伝える菓奈。次第に彼女は、大切なものを手に入れていく。スイートな連作ミステリー。
著者等紹介
友井羊[トモイヒツジ]
1981年、群馬県生まれ。國學院大學文学部哲学科卒業。ライターや契約社員、ニートなどを経て、『僕はお父さんを訴えます』で第10回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し、2012年小説家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
174
最後まで爽やかな印象を残して読み終わった。友人の少なかった菓奈が、吃音という障害のある中、コミュニケーションを取り戻していく過程の半ばまで。スイーツが媒介となり、探偵としての力を発揮していく。世の中の、吃音などの障害に対する理解がまだまだ希薄なことは残念だが、そのことは作中にも機会ごとに触れられている。現実は、いじめなどの問題は簡単には解決できないので、この作品のようにスムーズには行かないかもしれない。しかし真雪くんや悠姫子さんなど、本当の理解者の出現が、どんなに力づけられるかを、この作品は示している。2021/05/22
扉のこちら側
155
2018年172冊め。お菓子に関する知識がないのでそういうものかと感心しながら読了。表紙やタイトル、キャラクター描写が漫画巻あるが、根底にあるテーマは深いと思う。鍵を握る人物の秘密については、彼女の主人公に対する言動からそうなのだろうとは思っていたが、まさかあそこまでだったとは思わずページを遡って確認してしまった。私だけではないはず。2018/06/05
カメ吉
143
最初はお菓子作りと学校内のちょっとした事件の謎解きの解決かな?と軽く読み始めたけど実は主人公の抱えるかなり重い悩みがこの作品にはありました。 『吃音症』の女子高生の菓奈が友達が増える度に少しずつ強くなっていく様がよかった。 最終話とおまけの話は感動でした。2017/04/25
ダイ@2019.11.2~一時休止
137
連作短編集。青春ミステリー。解説にもあるように思わず読み返してみたくなる作品。2016/11/11
Aya Murakami
128
主人公の吃音の少女は作中で「結構性格がゆがんでいる」と称されていましたが、復讐することってそんなに悪いことなのでしょうか?と思いました。ほら…、パシュトゥーンの掟なんかでも復讐の項目とかあるし…。 風邪の症状に苦しみながら読んだナツイチ2017の1冊。2018/02/03