出版社内容情報
天才的心臓外科医の隠された顔、最高の治療の為には誰にも妥協を許さない名医、患者の嘘を見抜いてしまう医者……。現役医師が描く、リアルで怖くて面白いミステリー短編集。(解説/仲野 徹)
久坂部 羊[クサカベヨウ]
内容説明
脊柱管狭窄症で尿道に管を入れられ自宅で寝たきりの状態を強いられている男性は、嫁に浣腸を頼むのが憂鬱だ。あげくに嫁は看護婦や医師にわたしが痴呆だと嘘をついて嫌がらせをしている。きっと施設送りにしようと企んでいるに違いない。そんなことはさせないと叫ぶが―「寝たきりの殺意」。豊胸手術に失敗した運の悪い女を描いた「シリコン」他、現役医師による背筋が凍るミステリー全6篇。
著者等紹介
久坂部羊[クサカベヨウ]
1955年、大阪府生まれ。医師、作家。大阪大学医学部卒業。サウジアラビアなどの在外公館で医務官として勤務したあと帰国。2003年『廃用身』でデビュー。14年『悪医』で第3回日本医療小説大賞を受賞し、15年『移植屋さん』で第8回上方落語台本優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
175
ナツイチ2017、ナツイチ2018 愛ドクロの変態性はビックリでした。コンビニとかの隅に置かれている18禁イヤラシ小説ではないですよね?な雰囲気でした。妖女の頭蓋骨触るだけで飽き足らず墓荒らしまで…。たぶん墓荒らしの目的が副葬品だったなら主人公は異物あつかいされなかったでしょう。せいぜい犯人扱いくらいですんだでしょう。2019/02/21
扉のこちら側
134
2018年194冊め。ブラックな雰囲気ではあるがブラック過ぎない短編集。「哂う」の字面がぴったりの雰囲気である。他人が嘘をついていることがわかる医師が母校の教授選に巻き込まれる話と「至高の名医」が面白かった。教授戦はこれでもあっさり描かれていると思い、苦笑い。2018/06/19
ケンイチミズバ
126
最近の医者は信用できない。女性を酔わせ乱暴した事件など医者に限ってそんななんてことも多い。美容整形に失敗し傷ついた患者への言動が酷い。存在自体があり得ない。難しい手術が続き息抜きで簡単な手術を受け持った。開くとシリコンが分散して注入されていて除去がめんどくさくて乳房そのものを切除したなんて。物語にリアリティを感じたのはドラマの影響などでなく著者の実体験もあるからだろう。至高の名医が良かった。これだけで長篇ができそうなくらい含みが深い。人が丸くなるのは我が身にも失敗や後悔する出来事を経験してこそなのだ。2017/02/22
りゅう☆
122
いつか自分にも訪れた時は知らぬがホトケでありたい『寝たきりの殺意』、医者として男として卑劣な行為に怒り心頭だったが納得の結末な『シリコン』、『至高の名医』と呼ばれるほどだけど、ちょっとした気の緩みに悩む姿が可愛く思えてきて、これほど頭蓋骨を愛する徹底ぶりにある意味称賛な『愛ドクロ』、『名医の微笑』を維持のため他の久坂部作品でもグロ表現あったけどSM描写のグロさに驚き、嘘を見抜く力を借り不正を暴こうとしたが真実より情が優った『嘘はキライ』。どの名医もブラックだけでなく、ユーモアと優しさありきで楽しく読めた。2018/01/17
青蓮
118
ナツイチ2017より。現役医師による医療ミステリー短編6編収録。どの作品も人間の「裏の顔」が不気味に垣間見え、思わず背筋が寒くなる。「寝たきりの殺意」は将来誰もが陥りそうな状況で病気と雖も恐ろしい。「愛ドクロ」は骨好きには堪らない。主人公に妙にシンパシーを感じてしまう。私も「ホネホネ大行進」参加したい。1番のお気に入りは「名医の微笑」。誰にでも優しくて優秀な医師の知られざる本性が描かれた本作はとてもグロテスク。こう言う秘密倶楽部に地位の高い人が連なる理由が何となく解ってしまう。興味本位で私も潜入してみたい2017/08/29




