出版社内容情報
息子の嫁・里子と孫の春子と暮らす65歳の玉子。里子との生活は穏やかだが、実の娘の葉絵は40歳近くなっても反抗期の真っ最中。巻き起こる騒動と女性の本音をコミカルに描く全3編。(解説/吉田伸子)
内容説明
65歳の玉子は、亡き息子の嫁、里子と孫の春子との三人暮らし。お互いをいたわりあっての平穏な日々。そこに嫁にいった38歳の娘、葉絵がしょっちゅう帰ってきては、子供のころに心理的虐待を受けた、と身に覚えのない難癖をつけてからむ。実の娘よりも他人である嫁のほうがわかりあえるのか、いや、いざとなればやはり実の娘がたよりになるのか、玉子の心は複雑に揺れ動く。傑作連作短篇集。
著者等紹介
藤堂志津子[トウドウシズコ]
1949年、札幌生まれ。19歳で詩集『砂の憧憬』を刊行。広告代理店勤務を経て、87年小説『マドンナのごとく』で第21回北海道新聞文学賞を受賞。89年『熟れてゆく夏』で第100回直木賞、2001年『ソング・オブ・サンデー』で第8回島清恋愛文学賞、03年『秋の猫』で第16回柴田錬三郎賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
121
本当にお久しぶりの藤堂作品。息子を事故で亡くし夫は家出・・私・玉子の様子と心の中が手に取るように伝わってきて、とても面白かった。嫁・里子との関係もそれなりに良好で、小姑の娘・葉絵が共通の『敵』ほどじゃないにしても嵐を巻き起こす存在で、だから嫁・姑がうまくいってるんだな~と思う。実際こんな小姑はいる!私なら作り笑いも上手くはいかないな(笑)解説で嫁を木村多江でドラマとあったが、適役だと思う。どろどろじゃない嫁・姑・小姑小説。こういうのもたまには良いな。2016/05/20
扉のこちら側
105
2016年600冊め。事故で息子を亡くし、夫も家を出ていき、娘からは「兄と差別され精神的虐待を受けて育った」と責められる60代女性。傷心の彼女を支えるために同居するようになった嫁と孫との穏やかな生活を、夫と娘が波を立てるホームドラマ。善良そうに思える嫁も腹黒だったり娘にも美点があったりと物語としての面白さはある。解説にあるようにドラマ化したら面白そうだ。あまり描かれていなかった孫が気になる。2016/07/28
ぶんこ
66
事故で息子を喪い、一緒に苦しみを分けあうはずの夫が家を出てしまい、傷心の玉子の元へ息子の嫁の里子と孫の春子が同居。そこへ幼少時に親から疎外されていたと僻む娘葉絵が度々里帰りしては波乱を巻き起こす。玉子さんが気の毒と思いつつ読んでいると、自分勝手で冷淡な夫の顔色ばかりうかがって、娘を思いやってこなかった事。その後も何かあると周囲の人々の顔色をうかがい、余計な事は言わないようにしている玉子さんに、強烈な違和感が湧いてきました。まるで赤の他人、仕事やPTAとの人間関係のようです。家族なのに?2016/08/13
はつばあば
61
嫁がいいのか娘がいいのか・・。どちらにしろ同居って難しいだろうな。うちの気位の高い母が弟の嫁には一歩退いて相手するのは見物だった。温和な爺様でも手を焼く嫁の私・・筧死刑囚のように貰ってくれる殿御などありゃしない。爺様に先に死なれたら私にはこわ~い娘しかいない。なんとか一緒にあの世へとやらに行きたいものだが・・「あんたは十分長生きするで~。」と"(-""-)"2017/10/16
くろにゃんこ
59
息子を事故で亡くして嫁と孫との同居話。嫁姑の仲良しながらの心の声や小さな駆け引きが絶妙(笑)度々やってくる娘もわりと素直でいい人だったり、この家族を襲うドタバタがまたあり得ることで、楽しく一気に読めました。続編もありそうで楽しみ~♪2016/09/01