出版社内容情報
雪深い町で暮らす、高校生の小柚子と弥子。明るく振る舞う陰で、二人はそれぞれの事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校した京香が現れ……。第25回小説すばる新人賞受賞作。(解説/斎藤 環)
内容説明
冬はどこまでも白い雪が降り積もり、重い灰白色の雲に覆われる町に暮らす高校生の小柚子と弥子。同級生たちの前では明るく振舞う陰で、二人はそれぞれが周囲には打ち明けられない家庭の事情を抱えていた。そんな折、小学生の頃に転校していった友人の京香が現れ、日常がより一層の閉塞感を帯びていく…。絶望的な日々を過ごす少女たちの心の闇を抉り出す第25回小説すばる新人賞受賞作。
著者等紹介
櫛木理宇[クシキリウ]
1972年新潟県生まれ。2012年『ホーンテッド・キャンパス』で第19回日本ホラー小説大賞読者賞を、同年『赤と白』で第25回小説すばる新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
Tsuno本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
扉のこちら側
102
2016年567冊め。事件が発覚する場面から始まるので、読みながら彼女たちが後に酷い目に遭うのがわかっているだけに辛かった。降り積もる雪のように、頭を押さえつけてくる曇天のように、雪国に住む者たちが逃れられない苦しさというものがあって、それを少女の視点で語られるのが切ない。けれど終わり方があんまりで、腑に落ちない。2016/07/17
巨峰
97
雪国の長くて寒い冬。雪と氷に閉ざされた白い小さな世界で起こる赤い血と火の惨劇を抑制の効いた文章で描いた。重くて苦しい深雪のような小説だけど読み応えとリアリティがあった。雪国には住みたくないなと雪のない地方に育ち暮らしているわたしは思うのです。2016/09/25
misa*
86
前々から気になっていた作家さん。今回初読みでした。初読みにしてこの本を手に取るとは…!というような、重苦しい絶望的なストーリーでした。今でいう「毒親」に育てられている高校生達。雪国ならではの閉塞感の中で様々な人の闇をとことん見せつけてくれるような、その感じに一気に引き寄せられて読んでしまいました。まさに小柚子ちゃんの毒親が、実母に近くて、とっかえひっかえしてる姿を目の当たりにしていたので、あの何とも言えない気持ち、十分に理解出来ました。あの子達が素敵な未来を描けたらいいなと思います。2016/07/28
mincharos
82
雪国で暮らす4人の女子高生。それぞれが種類は違えど毒親の母を持っていて、それがゆえに起こってしまった赤と白の事件。どの子たちも母親のせいで辛い思いを抱えていて、その辛さから逃れたくて必死に何かすがりつく。母と娘を扱う作品って多いけど、どうしてこうもうまくいかないんだろう、、と思っていたら、最後の解説で専門家が説明してくれていて、解説までも興味深く読んだ。小さい頃に性的虐待のトラウマがあると、そういう行為に対してネガティブになってしまうのは仕方ないよね。明るい未来を感じられるのは京香だけだった。2017/11/10
アッシュ姉
82
雪深い地方都市に暮らす四人の女子高生。うち一人が火災により亡くなることが冒頭の新聞記事で予想できるので、いったい誰がなぜという思いから一気に読んだ。どの少女も母親と歪んだ関係にあり、家庭内の深刻な問題を抱えている。親友にも打ち明けられない、親友だからこそ知られたくない悩み。雪国の閉塞感がさらに暗い影を落とし、少女たちを狂気の淵へと追い詰める。最初に読んだ櫛木さんの『侵蝕』でも感じたが、プロットも巧いし、リーダビリティも文句ないが、オリジナリティにやや欠ける印象でラストも駆け足なのが惜しい。次作に期待。2017/08/07
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