出版社内容情報
犬とは人間の言葉で話し合うことはできない。でも、人間同士以上に心を交し合うこともできる。思わず涙こぼれる人間と犬を巡る7つの物語。ノワールの旗手が贈る渾身の家族小説。(解説/森 絵都)
内容説明
人間は犬と言葉を交わせない。けれど、人は犬をよく理解し、犬も人をよく理解する。本当の家族以上に心を交わし合うことができるのだ。余命わずかだと知らされ、その最期の時間を大切に過ごす「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」、母の遺した犬を被災地福島まで捜しに行く「柴」など。じんわりと心に響く、犬と人間を巡る七つの物語。愛犬と生きる喜びも、失う哀しさも包み込む著者渾身の家族小説。
著者等紹介
馳星周[ハセセイシュウ]
1965年北海道生まれ。横浜市立大学卒。96年デビュー作『不夜城』で第18回吉川英治文学新人賞、98年『鎮魂歌』で第51回日本推理作家協会賞、99年『漂流街』で第1回大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 4件/全4件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
478
6つの犬種を描いた短編集。最初は小型犬のチワワ。最後は大型犬のバーニーズ。いずれの作品も、それぞれの犬種の特質を踏まえて物語化がなされている。しかし、その一方で全ての犬に共通するものもある。それは、いかなる時にも犬の側からは飼い主を裏切らないけなげさである。そして、犬の一生は短いという事実だ。冒頭に掲げられた「犬の十戒」の第1がこれだ。この十戒を読むだけで、すでに涙がににじみはじめる。もっと大切にしなくてはと反省もし、新たな決意もする。それがなかなか続かないのだけれど。犬を愛するすべての人に推薦!2019/05/08
KAZOO
205
馳さんがこのような本を書いているとは知りませんでした。読書メーターのおかげですね。犬好きの私にはかなり印象に残るとともに、じじいとなってきて涙腺がゆるんでいるせいか、涙ながらに読んでいました。犬種ごとに7つの短編集を収めていて短い割には読みでがありました。何度も読みなおす本になりそうです。2016/09/18
ケイ
125
犬と人間の絆の短編7つ。小さい犬も、ロシアの大きな犬も、引退した警察シェパードも、みんな人間との絆を気付くことで、互いにしあわせになれる。この中では、少年とレイラの絆が出来ていくにつけ、他の絆も強まっていく話が一番好き。忘れてならないのは、最初に書かれている犬を飼う上での十戒。とはいえ、それらはどの動物にでも言えることだろう。とにかく基調にあるのは愛。愛を与え、信頼すれば、ヒトは素晴らしい友を持つことが出来るのだから。この本を紹介してくれた読友さんに感謝。2020/11/11
佐々陽太朗(K.Tsubota)
115
『少年と犬』を読み本書も読みたくなった。『少年と犬』もそうであったが、馳氏は犬を擬人化せず物語を書いている。それでいて犬が飼い主に寄り添い、飼い主に全幅の信頼を寄せ、あるときは飼い主に甘え、またあるときは飼い主を心配する姿を過不足ない言葉で書くことで読み手の心を温かいもので充たしてくれる。7篇それぞれ良かったが、中でも「柴」「ジャーマン・シェパード・ドッグ」「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」が特に良い。それは私の好みの犬種でもある。自分が飼っているわけでもないのに、涙が出るほど愛おしくて抱きしめたくなる。2021/05/23
おしゃべりメガネ
104
2013年に刊行された「犬」が主役の7編からなる短編集です。「犬」好きな方にはたまらない作品なんだろうなというのが、この上なく十二分に伝わります。本作があっての直木賞受賞作『少年と犬』なんでしょうね。当然、犬は言葉を話しませんが、やはり'家族'には家族でしか分かち合えないコミュニケーションが絶対に何かしらあるんでしょうね。7種の犬、それぞれが主役で個性豊かなキャラが綴られています。どんなに「犬」を愛していても必ず何かしらの'別れ'がやってきてしまいます。そんなリアルな描写がしっかりと胸をアツくさせます。2025/09/27
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