出版社内容情報
一族皆に恐れられていた厳格な祖母が亡くなった。遺品の金庫の、驚くべき中身とは…?(「金庫と花丸」)など、冲方丁が実話を元に創作した、33話の「泣ける」ショートストーリー集。
内容説明
胸にあふれる、感動と共感。稀代のストーリーテラー・冲方丁が実話をもとに創作した「泣ける」ショートストーリー33篇。
著者等紹介
冲方丁[ウブカタトウ]
1977年岐阜県生まれ。96年「黒い季節」で第1回スニーカー大賞金賞、2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、10年『天地明察』で第31回吉川英治文学賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文芸賞、12年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
267
人伝えに聞いた泣けるエピソード短編集。それほど大泣きじゃなくウルっとするようなじわっと来るような、押し付けがましくない泣きエピソードなので私は好きです。いろんな話がありますけど、どれも人との関わり。あ、犬もあったか。人情味あって、人っていいなぁ、捨てたもんじゃないよな、と思えます。「「二十五メートル」とは、某アリーナと、隣の公園との距離のことだという。彼らが路上で歌っていた頃、公園でライブを行った。ギャラも雀の涙だ。アリーナまでたった二十五メートル。なのに「どれだけ遠いんだ」そう思いながら進み続けた。」」2023/11/05
優希
152
「泣ける」ショートストーリーということですが、正直泣けなかったです。負の感情が感謝に変わるとき、涙があふれる。そんな瞬間に出会えました。ただ、じんわりとはくるのですが、泣かせようとしているように語っている、という感を受けないわけではなく。あたたかい話が沢山詰まっているな、というところで止まってしまったのが残念でした。2016/08/20
おしゃべりメガネ
142
北海道胆振東部地震からちょうど半年となる今日、震災関連というコトで読了しました。実際にあった'泣ける'話を作者さんがコラムとして書き綴った作品です。本コラムの連載中に奇しくも東日本大震災があり、それ以降はやはり震災がらみの話が書かれています。個人的には号泣するほどの'もらい泣き'には残念ながら至りませんでしたが、やはり人間色んな意味で諦めてはいけないなと思わせてくれました。33話からのショートストーリーで、テンポも良く、読みやすいのでスッキリと読了できます。でも、やはり震災モノはココロが痛いですよね。2019/03/06
Shinji
136
初読みの冲方丁さん。タイトルと表紙から結構身構えて読んでた事を素直に反省です。 連載コラムからの33の短編集という事もあって1話1話、停滞することなく読めました。私は読んでいて泣けませんでしたが、それはこのお話達がとても「良い話」であるという事でした。どのお話も突き詰めて納得の出来る理由があるので感情移入まで至らなかったようですね。「携帯電話とエゾシカ」「ノブレス・オブリージュ」は純粋に素敵なお話だと思いました。2017/01/10
黒瀬
125
33からなる掌編集。原稿用紙5枚半という制約の中で思わずホロリとするお話を数十回も描かなければならないのは想像するだけで気が遠くなりそう…。そんな辛い状況の中、綿密な取材や手を貸してくれた方のお陰で一冊の本として出来上がる。これこそ幻の34篇目だ。【心霊写真、ぬいぐるみ、女王猫、携帯電話とエゾシカ、化粧をする人、盟友トルコ、空へ、先にいきます、タクシーと指輪】がお気に入り。心が弱っている時に好きな掌編を読むと元気が貰えそうです。 2019/12/09