出版社内容情報
80歳を目前にして最愛の伴侶を失った人気作家たち。夫と妻それぞれの立場から、残された者の苦しみ、悲しみ、そしてそれを乗り越えるまでを率直に語り合い、“死"を考える。(解説/高樹のぶ子)
内容説明
夫である作家吉村昭を闘病の末亡くした津村節子と夫人を突然に亡くした加賀乙彦。80歳を目前に長く連れ添った最愛の伴侶を失った人気作家ふたり。最期の看病をできなかったと悔いる妻と、神は存在し妻と天国で再会できると信じる夫。夫と妻の立場から辛く苦しい胸の内と、それをどう乗り越えていくかを語り合う。伴侶を偲び、夫婦という不思議なものを想い、生と死について考える心にしみる対談。
目次
第1章 出会い
第2章 死の病
第3章 伴侶なきあと
著者等紹介
加賀乙彦[カガオトヒコ]
1929年東京都生まれ。小説家・精神科医。東京大学医学部医学科卒業。主な著作に『帰らざる夏』(谷崎潤一郎賞)、『宣告』(日本文学大賞)、『永遠の都』(芸術選奨文部大臣賞)、『雲の都』(毎日出版文化賞特別賞)など。日本藝術院会員。2011年文化功労者
津村節子[ツムラセツコ]
1928年福井県生まれ。小説家。学習院短期大学国文科卒業。主な著作に『玩具』(芥川賞)、『流星雨』(女流文学賞)、『智恵子飛ぶ』(芸術選奨文部大臣賞)、『異郷』(川端康成文学賞)、『紅梅』(菊池寛賞)など。日本藝術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
naotan
15
良い対談でした。著作からは見えてこない、吉村昭の新たな一面を見た思い。加賀乙彦は学生の頃好きな作家だったので、また読んでみようかな。2019/01/22
のん
12
カトリック信者の加賀氏と、無宗教とおっしゃる津村女史の対談。お二人の亡くなられた方達との想い。加賀氏は精神科医らしくおちついた聴き役をされていた。 ますます加賀作品を読んでみたいとおもえました。 作品が長編が多いようなので、なかなかハードルが高いですが。2019/02/12
あーこ
3
伴侶を失って 長く経っても いつまでも忘れられず、夢にまで出て来る。程度の差はあれ思うのは誰しもだろう?興味深い会話。 2019/08/13
秋はeuglena
1
購入してからきっかり9年積んでしまい漸く読めた。すぐに読むより今まで引っ張ってよかった。自分の年齢も上がってとてもとても身近な話題になっていた。著者たち世代の方々のお墓に対する考え方がよくわかりました。この本が書かれた時からたった9年経って今はお墓の継承者がいなくて墓じまいが話題になっている。時の流れがはやい。2024/07/09
:*:♪・゜’☆…((φ(‘ー’*)
1
愛する母が亡くなって三ヶ月、こういう話はこたえるかなと思って試しに読んでみたが、意外と癒やされた。自分のかわりに的確に表現してもらった気分。加賀さんの奥様は、二人で行く旅行前日、お風呂に入ったきりそのまま亡くなってしまった。いまはもう加賀さんも亡くなってしまって、世界が寂しくなってきた。津村さんの小説は、津村さんの体験が書かれていると。つらい記憶や気持ちを掘り起こして小説にできるとは、心が強いのかなあとおもった。「ネガティブ・ケイパビリティ」を併読していたのだが、その能力が高い、かくありたいと感じた。2023/02/06