出版社内容情報
19世紀、英国を出発したフランクリン隊は北極探検中にその姿を消した。彼らはそこでどんな光景を目にしたのか。その足跡をたどった壮大な冒険記。講談社ノンフィクション賞受賞作。(解説/東えりか)
内容説明
1845年、英国を出発したフランクリン隊は北極探検中にその姿を消した。ヨーロッパとアジアを結ぶ幻の航路を発見するために出航した一行は、北極の厳しい環境と飢えにより総勢129名が全滅。極寒の地で彼らはどんな光景を目にしたのか。著者は冒険家の荻田と二人、その足跡を辿る旅に出た。三ヶ月以上にわたって北極の荒野を進んだ壮大な探検記。第35回講談社ノンフィクション賞受賞作。
目次
序章 レゾリュート湾
第1章 バロウ海峡―乱氷
第2章 ピール海峡―未知の回廊
第3章 ビクトリー岬―暗転
第4章 ワシントン湾―遭遇
第5章 グレートフィッシュ川―約束の地
第6章 不毛地帯―混沌
終章 キナッパトゥの国
著者等紹介
角幡唯介[カクハタユウスケ]
1976年北海道生まれ。早稲田大学探検部OB。2010年『空白の五マイルチベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』で第8回開高健ノンフィクション賞、第42回大宅壮一ノンフィクション賞、第1回梅棹忠夫・山と探検文学賞、12年『雪男は向こうからやって来た』で第31回新田次郎文学賞、13年『アグルーカの行方』で第35回講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
166
第35回(2013年)講談社ノンフィクション賞。 1845年北極圏を目指し 全滅したフランクリン隊をめぐる物語である。 国民的英雄フランクリンが辿った道をたどる …先人たちの苦闘に思いを馳せながら、著者と荻田 二人の北極圏冒険の日々が続く …GPS に対する 著者の微妙な思いが 興味深い。冒険家の業のようなものが ふんだんに散りばめられた、そんな作品だった。2019/01/16
gonta19
120
2021/1/30 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。 2023/6/22〜6/29 角幡氏が北極探検家の萩田泰永氏と行った19世紀に北極圏を探検し、129名全員が死亡したフランクリン隊の跡を追う冒険を描くノンフィクション。第35回講談社ノンフィクション賞受賞作。 いやあ、こんな過酷な冒険に挑むなんて、本当にタフだなぁ。高野秀行氏といい、早稲田大学探検部はすごい人たち揃いだ。2023/06/29
トムトム
57
すごく面白かった!全員が遭難・死亡したフランクリン隊の後を追うドキュメンタリー。しかし、過酷な北極。旅の話だけでもすごいのに、そこにフランクリン隊のエピソードが加わる欲張りな1冊です。北極熊を「へいへいへい!ぶっ殺すぞクマァ!」と恫喝するクレイジージャーニーでおなじみ、荻田さんも同行しています。角幡さんのヘルペスが極限環境で悪化。私も仕事で行き詰った時に同じ症状になりました。唇の皮が全て剥がれ、血膿が垂れ流しになる症状。仕事のストレスと北極を徒歩で旅するストレスが同じ⁉とビビりました。2021/04/11
ホークス
56
2011年の北極「徒歩」旅行記。乱氷や北極熊と戦い、凍った海を重い橇を引いて進む。酷寒の中で心身はぼろぼろになる。辿ったのは百人以上が全滅した19世紀の探検隊の道。人肉食に及んだ死の行進であり、隊長は現地民にアグルーカ(背が高く果断な人)と呼ばれた。明言しないものの、著者は全滅した探検隊と、環境破壊によって滅びゆく人類を重ねている。知恵と勇気をもって困難に挑む賢明さと、生物を無慈悲に狩って命をつなぐ残忍さが交互に描かれる。そう考えると書名も意味深だ。冒険記としても抜群に面白い。明るくて臨場感に満ちている。2021/01/11
翔亀
55
旅行記である。初登頂でも未踏の秘境の探検でもなく、先人と同じ道を辿る。だから旅。しかし進むのは冬の北極海の氷の"道"であり、先人とは一人も生還できなかった200年前の北極探検隊のことだから、尋常な旅ではない。人間の肉体と精神の限界を極めた3か月間の雪と氷との格闘が、えらく詳細(毎夜何時間もかけて記録したからこそだろう)。これに、200年前の全滅した探検隊のわずかな痕跡をたどることで、今だ詳細不明の探検隊の行方について<現場>(=北極)からの推理が加わる。この極地に立ってこその思考が傑作を生んだ。2016/01/22
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