出版社内容情報
放射能を恐れ、東京から四国の山村へ引っ越した熟年夫婦。一見和やかで友好的な村の老人たちだが、裏には陰湿な苛めや村八分、「口を縫う」神様の言い伝えなどが横たわっていて……。
内容説明
夫の定年退職を機に、東京から高知の山奥の白縫集落に移り住んだ夫婦。美術教師だった夫の竣亮は趣味の陶芸に専念したい、妻の麻由子は放射能汚染の不安のある東京から逃れたいと思っていた。老人ばかりの村で、若くみられた二人は歓迎されるが、「くちぬいさま」と呼ばれる神を祀る神社に続く道の上に竣亮が陶芸の窯を作ったことから、村人達との関係に亀裂が生じ、陰湿な苛めが始まる―。
著者等紹介
坂東眞砂子[バンドウマサコ]
高知県生まれ。奈良女子大学住居学科卒業後、イタリアのミラノ工科大学などでデザインを学ぶ。帰国後、フリーライターを経て作家デビュー。96年『桜雨』で第3回島清恋愛文学賞、97年『山妣』で第116回直木賞、2002年『曼荼羅道』で第15回柴田錬三郎賞を受賞。2014年1月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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*すずらん*
84
わしらにはわしらの掟があきますき。守ってもらえないちゃ、くちぬい様が黙ちゃおられんですよ。放射能汚染から逃げる様に移ってきたこの村は、安住の地ではなかったのか?今度はこの嫌がらせから逃げなくてはならないのか?会えば何事もなく笑顔で話し掛けてくる住人が果たして本当に犯人なのか?くちぬい様の祟りなのではないか?疑心暗鬼になり壊れていく心身。毒は回る。末端まで行き渡る。逃げおおす事はできない。いえね、実はあの事件の真相は…おっと 余計な事を言っては、くちぬい様に口を縫われてしまいますき。その目で確かめて下さいな2014/06/02
えりこんぐ
80
読友さんよりオススメ♪ 退職後に田舎に引っ越してきた夫婦を襲った悲劇。お年寄り怖いよ! (゚ω゚) もともとリタイア後の住み替えに興味はないけど、これを読んだら絶対の絶対に見知らぬ田舎に住むのはやめようと思った。あとがきも怖すぎ!2018/09/10
はな
67
怖かった…。奥さんの放射能汚染の過剰反応や旦那の安易な発想やら嫌な気持ちが満載でちょっと先に進むのに力入りましたが、読了感は面白かったと言う感想です。ひたすら飼い犬が心配でした…やはりというオチ。田舎だから放し飼いとか庭繋ぐとかやめてほしい。 坂東眞砂子さん亡くなってたんですね。それが一番びっくりでした。2017/06/27
ちゃとら
52
死国を読んだついでに、坂東眞砂子2冊目。幽霊より怖かった。憧れる人も多いリタイア後の田舎暮らし。田舎の人間関係は難しいと聞きかじっていたが、小説の中は凄まじかった。一番驚いたのは後書き。実体験に基づいていたのだ。移住って大変(-.-;)2017/08/26
まさきち
47
坂東さん独特の世界を味わいたかったのですが、単なる田舎の人間関係に終始した話で消化不良。印象としてはあとがきにあった坂東さん自身が高知の片田舎で受けたいじめ体験を綴った日記のような感じです。2015/06/30