出版社内容情報
東芝の創始者・田中久重の波瀾万丈の人生
幕末期、自力で数々の精巧なからくり人形を作り上げ「からくり儀右衛門」と呼ばれた田中久重。その才に目を付けた佐賀藩は、蒸気機関などさまざまな最先端技術の実現にあたらせるが…。
内容説明
幕末の九州で「からくり儀右衛門」と呼ばれた男がいた。その名は田中久重。天性の才能を生かし、精巧な「からくり人形」を生み出した。「人の役に立つ技術でないと意味がない」という思いから、灯具、万年時計など、生活機器を作り出し、明治維新後は銀座に工房を設立、後の東芝の祖となる。歴史の波に揉まれながら「技術大国ニッポン」の基礎を作った男の生涯を描く、著者渾身の歴史小説。
著者等紹介
童門冬二[ドウモンフユジ]
1927年10月東京生まれ。44年海軍土浦航空隊に入隊するが翌年終戦。戦後は東京都庁に勤務。知事秘書、政策室長などを歴任。退庁後は歴史小説やエッセイを執筆。組織と人間をテーマに講演活動も積極的に行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
野球と歴史と・・・・本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュラフ
26
幕末には大変な人物がいたものである。"からくり儀右衛門"こと田中久重。久留米の出身であるが、佐賀藩で登用された。精巧な からくり人形 をつくっただけでなく、灯具や万年時計をつくり、佐賀藩の蒸気機関やアームストロング砲づくりにも参画している。後の東芝の祖だという。恥ずかしながらこの本を読むまで田中久重なる人物のことは知らなかった。その功績をみると作者が言うように"技術大国ニッポンの基礎をつくった男"は過言ではない。持てる技術を産業に活かしたのが素晴らしい。本来的にはもっと取り上げられてしかるべき人物である。2015/01/03
James Hayashi
20
東芝の基を作った技術者。昨日読んだジョン万次郎のごとくジュニア向けの小説かと思った。副題に天才技術者とあるが、天才といっても欧米の科学者のように発明に優れていたわけではない。からくり人形にしても風砲にしても参考になるものがあった。しかし器用であり知的好奇心が旺盛で、無尽灯や数々の"世のためになる"製品づくりを行った。要は他との差異化、差別化、区別化の付加価値を持つ。からくり人形など図録があってもほとんどの人が作れないと思う。それを新たな導源を用い組み立てるなど技術的才能は秀でたものを持っていたのであろう。2015/08/14
誰かのプリン
18
童門冬二初読み本。土橋章弘の「ライツオン」にも、からくり儀衛門こと田中久重が登場したので興味が湧き読了しました。物作りの原点である「社会に役立つモノを作る」を心情として沢山のモノを発明し作成した。読みやすかったです。2018/10/21
スー
3
東芝の礎を築いたからくり儀右衛門、マンガの仁を読んで知ってから興味をもった。からくり人形やランプを作った人だと思っていたが、時計、蒸気船、通信機、大砲、旋盤、消火器等多岐にわたる天才発明家。こういう人は気難しい人が多いと思っていたが久重は技術を教えたり飲みに連れていったり、面倒見が良く人に慕われたようだ。二人の名君に仕え技術の発展に貢献した。富岡製糸工場にも関わっていた。もっと知られていてもいい人物だ。2015/08/29
Monty
3
幕末から明治にかけて西洋の技術を貪欲に取り込み様々な国産製品を生み出した。3方よしの精神で、会社、お客、社会が良くなって行くことに努力を惜しまなかった。2013/04/05
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