出版社内容情報
新しい視座で迫る、オウムと日本人の本質
あの事件はなぜどのように起きたのか。ドキュメンタリー『A』『A2』でオウムの側から日本社会を描いた著者が、裁判、元信者たちへの取材を通して、事件の真実の姿を追求。第33回講談社ノンフィクション賞受賞。
内容説明
判決の日、東京地裁で初めて完全に「壊れている」麻原を見た著者は愕然とする。明らかに異常な裁判に、誰も声をあげようとしない。麻原彰晃とその側近たちを死刑にすることで、すべてを忘れようとしているかのようだ―戦後最凶最悪と言われたオウム事件によって変わってしまった日本。麻原とオウムを探り、日本社会の深層を浮き彫りにする。第33回講談社ノンフィクション賞受賞作。
目次
傍聴
封印
面会
弁明
弁護
故郷
真宗
記憶
拒否
手紙
暴走
鑑定
信仰
鏡像
集会
父親
詐病
棄却
姉妹
著者等紹介
森達也[モリタツヤ]
1956年広島県呉市生まれ。立教大学卒業。86年テレビ番組制作会社に入社、ドキュメンタリーを中心に数々の作品を手がける。98年オウム真理教の荒木浩を主人公とする映画『A』を、2001年には続編『A2』を発表。現在は紙媒体での執筆活動が中心。11年『A3』で第33回講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mitei
283
オウム真理教の一連の事件でいかに裁判として不備があったのかを徹底的に追求した1冊。組織犯罪をトップが裁かれるというのは因果関係を合わせないといけないので、やはり難しいんだろうな。それでもトップが訴訟能力がなくて裁判停止とかになったら、あれだけの事件を起こして世論が許さないだろうな。そして人をサリンで殺めた組織を市民感覚としてもう大丈夫と信じて松本死刑囚の身内を一般人と同じ扱いにするのは普通無理だろうと思う。誰でも罪を償ったとしても再犯するのではないかと疑うのは人間として当たり前の反応だなとも思った。2019/07/08
さつき
53
オウム事件とは、麻原彰晃とは何だったのか、改めて問い直す一作。ここに書かれている拘置所内での麻原の処遇が事実かどうか、私には判断できないけれど、あまりにひどい有様に読んでいて吐き気がしました。一方で、たくさんの被害者を生んだ重大事件の容疑者なのだから、快適な生活を与えられないのは当たり前だと思う感情もあります。この後、取材がどう進むのか下巻へ。2017/09/13
ヨーイチ
36
コメントは下巻終了時に。しかし内容が濃過ぎて、深刻しすぎて、今から気が重い。こんな本も久しぶり。因みにこの本に地下鉄サリン事件のことはあまり出てきません。死刑か執行された今だからこそ読むべきって気もする。2019/04/22
なるみ(旧Narumi)
26
読友さんのレビューがきっかけで読んだ一冊。文庫上下巻にチャレンジしました。感想はまとめて下巻に書きたいと思いますが、私の場合は読むのに少しガッツが必要でした。2019/09/05
秋 眉雄
14
この本で森さんが言いたいことは、実はただひとつ、『どう見てもマトモじゃない麻原をこのまま死刑にしてしまって良いのか』これだけ。現状において既に結論が出ているとされる事柄に対して、それらに反する森さんが立てる様々な仮説が延々と述べられているのですが(弟子による暴走論など)、これらは全てそのことを問うために書かれているのだと思います。要するに、こんなことすらもはっきりと解明されていないのにという。死刑が執行される前に読むべき一冊だと思います。2018/01/02