出版社内容情報
権勢を誇る光源氏。しかし、その運命にもかげりが見え始め──。「源氏物語」を女性たちの声で描き直す、第三巻。(玉鬘~女三宮)
内容説明
39歳の光源氏は、冷泉帝(藤壺との不義の子)により、天皇に次ぐ最高の地位を手にし、私生活では、広大な邸宅に紫上をはじめ、愛する女人たちを住まわせる。公私ともに栄華を極める彼だったが、ひとりの女人の登場で予想外の展開に―。本巻では、年齢や立場、性格などさまざまな女人が登場し、「女性にとって真の幸福とは?」という現代に通じる問いに答える。原作にない独創性が光る、第三巻。
著者等紹介
瀬戸内寂聴[セトウチジャクチョウ]
1922年徳島県生まれ。東京女子大学卒業。63年『夏の終り』で第2回女流文学賞受賞。73年得度、筆名を晴美から法名の寂聴に変更。92年『花に問え』で第28回谷崎潤一郎賞、96年『白道』で第46回芸術選奨文部大臣賞。2001年『場所』で第54回野間文芸賞受賞。06年度文化勲章受章。11年『風景』で第39回泉鏡花文学賞、17年朝日賞を受賞。著書多数。21年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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RASCAL
10
第三巻は光源氏の絶頂期、準太政天皇の地位に上り詰め、大きな屋敷を築いて自分の女たちを住まわし、さらに朱雀上皇から娘の女三宮を託される。中年になっても口先とエッチで女たちの不満をごまかす光源氏、紫の上と明石の君の独白が何とも。2024/12/06
ときわ
8
原作での近江の君の扱いは読んでいて不愉快になる。寂聴さんもそうだったのかな。原作にないラストを用意してくれ、救われた気になる。他の方の源氏でもそんな風に変えてくれたのを読んだこともあった。紫式部はどう思ってこれを書いたんだろう。この三巻目で寂聴さんがえぐるように書いたのは紫の上の気持ち。作品の中で恵まれた女君とされているが、どこか苦しいのが紫の上。そこをとことん突き詰めてあらわにしている。光源氏のお気楽振りと対比しているので、一層辛さが伝わってきた。2024/05/04
デジ姫
6
32年前に読んだ女人源氏物語、旅行先で読もうと3冊持って行った。その3冊読み終わったから時間つぶすものが無くなったから仕方なく京都から帰宅。2024/12/03
Hiroki
3
朝霞図書館 佳境に入ってます、上手く読み進められないことに多少焦りを感じながらもドップリです。明石の君が花散里の有り様・人格を語っています・・・性的関係はなくとも恨みがましいことは一切語らず、他の女性との関係にも嫉妬せず、精神的愛情で接しているのが花散里。自分はそのようには生きない、自分は女として愛されたい。自分が自分であることを薄めたくないのだ・・・。このへんは、寂聴さんが己自身を語っているようだ。初音や梅枝の章の赤裸々な心情吐露は寂聴さんの叫びかもしれない。原典がもてはやされるのも分かるなぁ。2024/09/08