出版社内容情報
大地主の寄付金で潤う海辺の街、そこに突如現れた遺産相続人。暴力団の抗争、企業の陰謀が蠢くなか真の悪は!? 傑作サスペンス。
内容説明
大地主の遺産相続人、干場を懐柔しようとする者や、排除しようとする者があとを絶たない。様々な思惑が交錯するなか、悪徳警官や大物弁護士らの不審な死が立て続けに起こる。暴力団の抗争は激化し、進出企業の陰謀が露見。干場の存在を巡って、潜んでいた毒虫たちが動き出す。本当の悪は一体誰なのか。定年間際の刑事、安河内は命を懸けて真相解明に挑む。緊迫の長編サスペンス。
著者等紹介
大沢在昌[オオサワアリマサ]
1956年名古屋生まれ。79年「感傷の街角」で第1回小説推理新人賞、91年『新宿鮫』で第12回吉川英治文学新人賞、第44回日本推理作家協会賞、94年『新宿鮫 無間人形』で第110回直木賞、2004年『パンドラ・アイランド』で第17回柴田錬三郎賞、10年第14回日本ミステリー文学大賞、14年『海と月の迷路』で第48回吉川英治文学賞を受賞。22年紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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タツ フカガワ
57
干場功一が山岬市を訪れて数日間のうちに悪徳刑事、ホテル従業員、地元有力者が不審な死を遂げる。老刑事安河内によれば、9年前に起きていまも未解決の功一の祖母が犠牲になった強盗殺人や、6年前の“殿さま”の急死も、先の不審死に繋がるのではないかという。さらに「功一がこの町にきたことで、今さら誰もひっくり返さないと思っていた石がひっくり返った。とたんに、その下にかくれておった毒虫が動き出した」という混乱のなかで、この老刑事が見せる刑事魂がなかなか良かった。2025/06/25
神太郎
23
上巻でメインを張った干場が一旦山岬から退場し、老刑事、安さんが捜査をすすめる。上巻で散りばめられたあれやこれやが次第に一本の線となる。会話劇で進むためだろうか、非常にサクサクと読み進めることができてしまった。ラストは駆け足のようだが、わりかしキレイに着地した。エンタメ小説としてクオリティが高く満足です!2023/10/04
terukravitz
5
★★★☆☆2024/01/23
Panja Morimoto
4
ともかく主人公が魅力的。下巻を読み始める前に読んだ表4のあらすじに上巻の終わりではまだ起きてない事実を書くのは反則では!? ま、大したことじゃないですけど。 読後感爽快。久々に「おもしろかった!」と素直に言える作品でした。2024/05/15
都人
4
上・下併せて800pを超える長編。巻末で書評家は大沢版西部劇と評しているが。2023/10/06