出版社内容情報
1992年夏、甲子園。星稜高校は松井秀喜への5打席連続敬遠を受け敗退した。そこにあった知られざる真実とは。関係者徹底取材。
内容説明
1992年、夏の甲子園2回戦で事件は起きた―。明徳義塾の投手・河野和洋が星稜の四番打者・松井秀喜を5打席連続で敬遠。結果、2対3で明徳義塾が勝利した。どよめく応援席、飛び交う野次、投げ込まれるメガフォン。そのとき渦中の選手と監督は何を考えどう思ったか。高校野球の意義とスポーツマンシップを巡り大きな議論を巻き起こした試合の真実とは。第18回ミズノスポーツライター賞受賞作。
目次
第1章 失望
第2章 誤解
第3章 前夜
第4章 伝説
第5章 挫折
第6章 沈黙
第7章 真相
著者等紹介
中村計[ナカムラケイ]
1973年千葉県生まれ。スポーツ新聞記者を経て独立。スポーツをはじめとするノンフィクションをメインに活躍する。2007年『甲子園が割れた日』でミズノスポーツライター賞最優秀賞、17年『勝ち過ぎた監督 駒大苫小牧幻の三連覇』で第39回講談社ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shoji
37
あまりに有名な「松井秀喜5連続敬遠」。明徳側、星稜側、双方に丁寧に取材をなさったうえで、極力私見を廃してまとめられていると感じた。多様な意見があって、星稜擁護派と明徳擁護派は50対50にちょうど別れるのではないだろうか。申告敬遠なんてない当時、「文武両道の伝統校」の選手はソリコミ入れてるし。選手集めも、有名監督への接待攻勢も普通の光景。高校野球が賭けの対象になった。そんな時代なのに、大の大人やマスコミはこぞって、明徳の人格を全否定して犯罪者扱いしていた。根っ子は案外マスコミじゃないのか。2022/07/31
水色系
14
語り継がれる伝説の5連続敬遠。5連続敬遠をクソミソに言ってみたり、擁護論が出たり。人は、空気や世論に流される生き物だなあと思った。2023/03/03
hideto
6
最近、野球関連のノンフィクションばかり読んでいる気がしますが、この本もそんな一冊。恐らく、40代以上のほとんどの人が知っているであろう甲子園での松井秀喜の5連続敬遠。これにより、星稜は悲劇のチーム、明徳義塾はヒールなチーム、単純にそう思ってきました。しかし、この本をよみ、何が正しいのかわからなくなりました。明徳義塾の馬淵監督の言葉「答えは出んよ、一生」が一番的を得ているかもしれません。あれから30年近く経った今も伝説とされる5敬遠、その裏側を知ることができ、よかったです。2021/11/29
みじんこ
5
五敬遠に関わった人々へのインタビューを通じ、どう消化されているのかが見えた。当時の明徳の精神の拠り所としての練習量はさすが過酷と感じた一方、方針に変化もあり全ては監督の指導次第なのだろう。松井の規格外ぶりに驚く一方で、明徳以外の他のチームは「勝負せざるを得なかった」というのはなるほどと思う。松井の後を打っていた月岩へのインタビューも印象深く、その重圧は高校生には酷だろう。高校野球はどうあるべきかという野球観の違い等もうかがえた。最後の「もうひとつの五敬遠」はここまで読んだ後だと戦略的最善手なのだと思える。2024/11/23
jouta h.
2
野球をわかっている人なら何でもないことなのに無数あるマスコミはスポーツだからといって勝手にミスリードする 我々も含め反省すべきです。2022/01/31