出版社内容情報
永山則夫連続射殺事件、女子高生コンクリート殺人事件、酒鬼薔薇事件、平成の八つ墓村事件……近代の軋轢が生んだ「闇」に肉薄する。
内容説明
戦前から今まで、数多のおぞましい事件が世を賑わせてきた。永山則夫連続射殺事件、吉展ちゃん誘拐殺人事件、女子高生コンクリート詰め殺人事件、酒鬼薔薇聖斗事件、平成の八つ墓村事件…人を殺めてしまう人と、そうではない人の境界は何なのか。殺害現場や殺人者の興里を丹念に歩き、その土地の匂いをかぎわけることで見えてきたこの国の歪んだ相貌とは。近代の「闇」に肉薄するノンフィクション。
目次
第1章 現代の八つ墓村
第2章 北関東犯罪黙示録
第3章 東京ノースエンド
第4章 北海道に渡ったネパール人
第5章 ズーズー弁と殺人事件
第6章 林眞須美と海辺の集落
第7章 宗教と殺人
第8章 戦争と殺人
第9章 差別と殺人
著者等紹介
八木澤高明[ヤギサワタカアキ]
1972年神奈川県生まれ。ノンフィクシヨン作家。写真週刊誌カメラマンを経てフリーランス。2012年『マオキッズ猛沢東のこどもたちを巡る』で第19回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
at-sushi@進め進め魂ごと
62
永山則夫や金嬉老等、世を騒がせた殺人犯のルーツを追うルポルタージュ。著者が言うとおり、時代や環境は普通の人が殺人という一線を超えるトリガーの一つではあるのだろうが、似たようなな環境で殺人者が大量発生するというわけではないし、何処でどう育とうが殺人者になるような先天的とも言える異常性向者が存在するのも事実であり、外的要因だけから演繹するのは難しいよなぁ、というのが率直な感想。それにしても林真寿美の実家のアウトローぶりには驚いた。 2020/12/07
ころこ
27
殺人者が殺人する前には当然、生育歴があり、別の顔を持つ。著者は別の顔を探しにその土地を訪れる。問題は、殺人者にとっては人生でたった一度の殺人と呼ばれる以前の個別的な過程のはずが、著者が社会や時代状況を重ねて考察することでかえって一般化され、その深度が埋められてしまっていることにあります。社会を否定することで加害者と過度に同一化するのは、他ならぬ自分を肯定したい、救いたいと願っているからでしょう。それがタイトルの「巡礼」の意味に込められています。2020/10/03
Porco
3
ノンフィクションが駄作か良作かの線引きは取材者が取材対象から得られた考えが存在するか否かにによるものだと思っており、解説でも触れていたがその時代や場所の本質を知りたいのであれば暗部を見るのが1番正確だと考えている。そのように考えると、今まで見てきた殺人者を書いたルポ作品では一二を争う傑作でした。 この人はマスゴミとは呼べない、正しい取材者だと思う2020/11/03
KOGIakaRANKIN
3
女子高生コンクリート詰め殺人事件、埼玉愛犬家殺人事件、麻原彰晃など有名な殺人事件、犯罪者の故郷を巡り取材したノンフィクション 所々、興味深い記事はあったが、あとがきさえ読めばこの本を読み解いた気になれる 犯罪者にも歴史があり、故郷にも薄暗い歴史があるのだ 犯罪を肯定する訳ではないが、犯罪者の背景から風土の歴史なども読み解いていくことは面白かった2020/10/23
うえだ
1
土地の、呪縛。その土地の空気を知っているかが想像力を刺激する。だから著者は実際に行ってみるし、ひとの話を聞く。既に知っている事件も別の顔をみせる。2020/09/21