出版社内容情報
入院患者の連続不審死。疑いの目は一人の看護師に──。感動作を書き続けた著者が、人間の悪意をあぶり出す。新境地のミステリー。
内容説明
E病院で入院患者の連続不審死が発生。噂を聞きつけた週刊誌のフリー記者は、独自に調査を始める。同僚への聞き込みの結果、疑いは一人の女性看護師に。コミュニケーションが苦手で不器用。院内では問題児だった彼女。だが、証言者たちの供述に記者は違和感を覚える…。誰もが表と裏の顔を持っている。何が真実で何が嘘なのか。集団社会に潜む人間の悪意を描く長編ミステリー。
著者等紹介
加藤元[カトウゲン]
1973年神奈川県生まれ。2009年『山姫抄』で第4回小説現代長編新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
191
「実体がなにも掴めない『事件』ひとりの人間の悪意から生まれた空騒ぎ」そうだろうか?まんまと乗せられて、片棒を担いだような気持ちになって読了に至る。読後感はざらついて自分の中に巣喰う『悪魔』の部分にドキドキしてしまう。加藤元にやられてしまった。私を騙すのは簡単なのだろうなぁ・・2020/10/16
machi☺︎︎゛
150
E病院で起きた連続殺人事件。1人の看護師か疑われその周辺の人々にフリーの記者が聞き込みをしながら話しが進んでいくパターン。だが色々な人の供述に違和感を覚えていく記者。果たして病院で起こった真実とは⁇人の心の奥にある闇が段々と顔を表してくる恐怖、、、。初作家さんだったけどじわじわと追い詰めていく感じとかイヤミス感とか、好きな作家さんになった。2020/10/04
sayuri
128
文庫オリジナル作品。タイトルから医療ミステリーを想像していたが人間の裏の顔を暴いて行くイヤミス。入院患者の連続不審死をきっかけに週刊誌のフリー記者が怪しいと思われる女性看護師の同僚など10名の女性の元を訪ね歩き、其々の女性の独白形式で物語が進む。決めつけ、思い込みは怖い。誰かのほんの一部を見ただけで、その人が「犯人」だと信じきってしまう。他人を不快にさせるだけでなく苦しめ傷つける事に愉しみを見出す人間もいる。ミスリードされない様に読み進め作者が仕掛けた罠には早々に気付いたが、読後は人間の悪意に辟易とする。2020/10/11
あきら
122
人の評価について、考えさせられました。 色んな角度からその人を見ないと分からないものだけど、ほとんどの関わる人に対して一面的にしか見ていないなと。 程度の差はありつつも、どこのコミュニティにも似たような現象は起きてるんだろうなあ。 話の構成も変わっていて、じわじわと引き込まれました。2021/12/19
モルク
115
ある病院で、とある看護師が夜勤をすると翌日に入院患者が死ぬという事件が。E病院でも似たようなことがあった。怪しいとターゲットとなったのは看護師真中。コミュニケーション能力が皆無で引き継ぎもままならない。仕事ものろく要領を得ずまわりの看護師の負担が増える。そして起こったロッカールームでの盗難事件。それなのに入院患者の受けはいい。だから同僚看護師に疎まれ悪口三昧。でも何か違和感が…。わりと早くに真相に気づく。真梨幸子風の作品だが、あそこまでのイヤミス感はないかな。2022/01/20
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