出版社内容情報
湯山 玲子 ユヤマ レイコ イシダ イラ 石平 池袋 ウエストゲートパーク IWGP 娼年 逝年 娼婦 映画化 松坂桃李
内容説明
オーナー・御堂静香の亡き後、非合法のボーイズクラブを引き継いだリョウ。七年もの歳月を娼夫として過ごしてきた彼は、女性達の様々な欲望を受け止め続けていた。男性恐怖症やアセクシュアル…訪れる客の悩みも多様化する中、リョウは自身の未来に思いを巡らせ始める。性とはなにか。男と女の関係とは、どんなものなのか―深遠な旅の結末に、リョウが下した決断とは。「娼年」シリーズ最終章。
著者等紹介
石田衣良[イシダイラ]
1960年東京都生まれ。97年「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞しデビュー。2003年『4TEEN フォーティーン』で第129回直木賞を、06年『眠れぬ真珠』で第13回島清恋愛文学賞を、13年『北斗 ある殺人者の回心』で第8回中央公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
98
シリーズ最終章。法に従えば娼夫も立派な犯罪ではあるが「リョウ」の仕事に対する姿勢には喝采をおくりたい。女性達の話を聞き欲望を開放させる高い能力。様々な年代の方を満足させる包容力。世の中、草食系男子と言われるが風俗はそれなりに忙しいと思う。セックスレスも問題視される。ある程度身体の繋がりが心のゆとりを生むのも確かにあると思う。2020/11/06
misa*
69
シリーズ最終巻。どことなく読んでて思い出しながら、今作はドロッともせずゆっくりと穏やかに進んでいく感じ。いろいろと振り返りながら、悩みながらも着実に前へと進んでいく。けっこうこのシリーズは好きだったから、最後がとても私的には良い形で終わってくれて良かったな。2020/08/06
ごみごみ
65
シリーズ完結編。性の多様性 (かなり奇抜なのもあったけど) について、実際に悩んでる人がいて、こういう世界もあるのかもしれない。プロローグからなんとなく想像してたラストにたどり着いた時、やっぱりホッとした。2021/07/22
future4227
59
3部作の完結編になるのかな。人それぞれにいろんな性癖や性感帯があって面白い。そんな特殊な事情を抱えた女性が次々と出てくる。会話もけっこう開けっ広げで、セックスについてこんなにもオープンに話す人ってそうそういないだろうと思うのだが、どうだろう。むしろこういう女性がいたら素敵だなぁという、石田さんの願望?作中でも触れられているが、日本人は元来、性に対してもっと開放的な民族であったのに、そういった考えが破廉恥、タブー視されるようになり、欲望を殺すことでかえって心の繋がりも希薄になってしまったのかもしれない。2020/09/06
じょんじょん
56
映像を観てずっと気になっていた原作『娼年』から『逝年』『爽年』の三部作を読了しました。三部作といいながら、2作目、3作目を読んで、連作ではなく、それぞれが独立した作品のような印象を持ちました。3部作最終の『爽年』では 連続ストーリーというよりは、主人公の7年間の大きな振り返りであり、そこにあるのは「性」ではなく「生」が、そして「若さ」だけではない「人間の足跡」が描かれていると思います。清廉な文章からは猥雑さは削ぎ落とされています。最終結末はまさに「生」の根源を象徴するのにふさわしいエンドかもしれません。2021/11/14