出版社内容情報
池上 正樹[イケガミ マサキ]
著・文・その他
内容説明
派遣業務の雇い止め、両親の多重債務、高学歴が仇となった就職活動、親の支配欲…。年齢も立場も、きっかけも様々な彼らに共通するのは、社会から隔絶されて行き場を失ってしまった現状である。たまたま不幸だったから?性格がそうさせているから?否。決して他人事ではない「社会的孤立者」たちの状況を、寄り添いながら詳細にリポート。現代社会の宿痾を暴き出し、解決の道筋を探る。制度と人間関係のはざまで苦しむ彼らの切実な声に、私たちはどう向き合うことができるのか…。
目次
第1章 誰か見つけて
第2章 親子の高年齢化
第3章 毒親・ロスジェネ世代の就職難
第4章 機能不全家族
第5章 高学歴女子の転落
第6章 Uターン転職
第7章 支援とブラック企業
第8章 社会への道のり
第9章 自らの意思で出会いが選べる
第10章 あとがきに添えて―命を絶った柴田さんとのこと
著者等紹介
池上正樹[イケガミマサキ]
1962年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大学卒業後、通信社勤務を経てフリーのジャーナリストに。ひきこもり問題、東日本大震災、築地市場移転などのテーマを追う。KHJ全国ひきこもり家族会連合会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
94
仕事や両親の金銭問題、病気、就職活動の失敗。勤め先のパワハラもあるだろう。様々なきっかけで人はひきこもる。決して他人事ではない。この本は一人の青年が命を絶ったことルポが始まる。今の日本社会は「自己責任」という言葉が大手を振って蔓延している、声の小さいものは置いてきぼりだ。レールから外れた人たちにどう向き合ってゆくか。レールに戻すことも大事だがひきこもりの人たちが乗れるレールを敷くことも大切なことだと思った。2018/11/22
佐島楓
77
ひきこもり経験者が中心となって活動する場を作るという著者の試みも大切だが、今まさにひきこもっている方で、ひととの過度の接触は望まないけれど相談する相手がほしい……という本書で紹介されているようなケースに対応できる施設が増えてほしいと思う。仕事をしていてもちょっとしたことで足元をすくわれ、その結果ひきこもりにならないという保証はどこにもない。行政が無力だという事実なんか誰でも知っている。中高年男女のひきこもりこそ、喫緊の課題だ。2018/09/16
GAKU
57
序章と最終章に登場する、最終的に自死を選択した柴田さんの話はとても哀しい。まさしく『弱者が這い上がれない社会』。一連の"ひきこもりの書"とは一線を画する、非常に重い内容でした。2019/02/05
こばまり
57
就労支援に傾き過ぎない福祉サービスが求められている。井戸端会議に代表されるようにかつてコミュニティは自生していたが、昨今では仕掛けが必要だ。事例紹介するに留まらず実際に活動もされている筆者に頭が下がる。 2018/12/18
ゆう。
35
安心してひきこもれる社会という寛容な社会があっていい。このルポは、ひきこもり当事者のリアルな実態と施策の不備がよくわかる。ひきこもり経験者として、読んでいて辛かった。2020/01/15