出版社内容情報
「醜悪な建築」「邪魔な工業物」「過剰な看板」などの写真を並べながら、なぜ日本の景観は破壊されるのか、貴重な観光資源を取り戻すにはどうすればいいのかなどを論じた、異色のヴィジュアル文明批評。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スパシーバ@日日是決戦
96
{2014年} 全国で撮影した「醜悪な建築」「邪魔な工業物」「過剰な看板」。無法地帯と化した電線・鉄塔・携帯基地局、観光名所に必ずある看板や広告、コンクリートの埋め立て、有名建築家によるモニュメントについてそことなく、時には痛烈に批判。これからは無駄な公共事業に投入される国家予算を、国土を大掃除のために使いましょうと提言。景観よりも経済効果や利便性を追求した結果こうなった。我々の感覚も麻痺しており、行政システムやそれの何が問題なの?的な認識を改めない限り、日本の未来は..。2015/11/19
Miyoshi Hirotaka
66
世界を席巻するテクノロジーが及ばない世界が景観。電線は埋没できない、看板は多いほどよい、文明とはコンクリート製の奇抜な建造物を作ることという神話が信奉され、景観を破壊してきた。実は、便利な道路もなく、資料館も看板も、電線も鉄塔もない心がほっとするような田園風景こそが貴重な文化財。かろうじて生き残った風景をどれだけ消滅させないかが地方に残された再生のチャンス。一方で、それは世界に通じる競争優位に成り得るもの。「愛しているなら怒らなければならない」、著者の深い愛情がキツイ皮肉と率直な批評にあふれている。2015/06/23
ロア
63
安易で軽率で幼稚な日本は表面的には先進国になったが、文化や歴史に対する考え方は発展途上国のままだ。簡単に自然を破壊してコンクリートで覆い尽くし、貴重な建築物は雑多な看板や自動販売機、コインパーキングで囲い込む。私達が暮らす街には電線が張り巡らされ、統一感のない建物がひしめき合い、広告看板が乱雑に掲げられている。この本にはそんな日本の現状とそれを改善するための方法が述べられている。2020年のオリンピックに向けてこれからもっと酷い有様になるのか、それともまだ何とか間に合うのだろうか?2016/10/10
HMax
37
ナニコレ珍百景のような景観の数々。夜、京都についた彼が言った一言「あー京都ってインドみたいな所なんですね。」観光名所の敷地内は綺麗に管理されているが、外は無法地帯で看板だらけ。都会はコンクリートに電線ジャングル、田舎も同じ、海/川/湖岸、山肌もコンクリート。これからの公共事業は「国土の大掃除」をお願いします。最後に、「奥の舗装道」から一句を紹介「せせらぎや、コンクリートに染み入る蝉の声」2019/07/06
Aby
34
日本の観光地は,ピンポイントで建物を残せば良いと思っている.周囲の景観と合わせた時の見た目の美しさを考えていない.原爆ドームにしても,周囲のビルを入れずに写真が撮れるポイントは限られている.これでは訪れる人にとってもガッカリだろう.…てなことを考えてまちづくりして欲しくなる本.「厄除ノートルダム大聖堂」は,大笑いして喘息発作が起きました.2014/10/03