出版社内容情報
メトロノームがリズムを合わせて振れる、何万匹ものホタルが同時に明滅する…など、世界にあふれる「同期現象」の数々。実は人間の生命維持に関与するなど、知られざる重要な物理法則を解読する。
内容説明
なぜ何万匹ものホタルの明滅が完全に揃うのか…etc.驚異の現象「同期」の謎を解く。
目次
第1章 身辺に見る同期(ホイヘンスの発見―二つの振り子時計は共感する;国の命運を左右する時計の精度 ほか)
第2章 集団同期(ミレニアム・ブリッジの騒動;歩行の同期はなぜ起きたか ほか)
第3章 生理現象と同期(集団リズムとしての心拍;揺らぐ心拍 ほか)
第4章 自律分散システムと同期(中枢パターン生成器(CPG)が担う身体運動
ヤツメウナギの遊泳 ほか)
著者等紹介
蔵本由紀[クラモトヨシキ]
1940年生まれ。京都大学理学部卒業後、同大学大学院理学研究科修士、博士課程修了。九州大学理学部助手を経て、1976年に京都大学理学部助教授。1981年より同大基礎物理学研究所教授、理学部教授、大学院理学研究科教授を歴任し、2004年に定年退官後は京都大学名誉教授。2013年より国際高等研究所副所長。「同期現象などをめぐる非線形科学の先駆的研究」により2005年度朝日賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アドソ
18
蛍の集団明滅や巨大橋の振動、電力ネットワーク、ホルモンの分泌など、個々の事象を縦糸とすれば、本書であつかう同期現象は横糸といえる。無数のミクロリズムが同期してマクロリズムになる様は、自然界のいたるところに見られる。「蔵本モデル」は同期が「どのように」起きるのか、単純明快に記述できた点で素晴らしいが、おそらく自然科学の常としてそれが「なぜ」起こるのかを解明するのは難しそうだ。それぞれの縦糸に興味をもつ人たちに、横のつながりを意識させてくれそうな、やさしい入門書。2015/01/23
月夜乃 海花
15
再読。2014年に書かれた本。ろうそくの炎を見ていて思い出したので読みました。同期現象って様々なものにあるんだよという本です。非線形現象とか懐かしいキーワードでした。 同期現象って生物の細胞単位でも生じるのですね。生物の細胞の機能のエネルギー効率の良さにはいつも驚かされます。今は同期現象についてどこまで研究が進んでいるのだろう。
Miyako Hongo
14
今まで簡単には説明できなかったことが、こんな風に数式化できるんだよ、というのが非線形のウリだと勝手に想像してるんだけど、この本に出てくる数式は一個だけ。おいしさより食べやすさを優先した結果、一番面白い部分を逃してる感じがして食い足りない。でも数式まみれの本だったら手にとってないジレンマ。□読みながら「波ってどういう物だったっけ?」と混乱した。振幅と周波数がごっちゃになってた模様。科学畑での波は密度の濃淡だと認識してるんだけど本当に合ってるかな。□ミミズがどうして前に進むか判らない、という話は面白かった。2015/07/24
たびねこ
11
同期現象の切り口から、世界をもういちど見直してみる。振り子時計、ホタルの発光にはじまり、コオロギ、カエルの鳴き声、大勢の人が渡る吊り橋、電力の供給ネットワーク、わが身の心臓、膵臓、脊髄にいたるまで、ものみなシンクロしているのだった。視点次第で風景の様相はこんなにもかわるものだ。2014/06/16
まるさ
8
互いに離れたメトロノームやカエルたちの鳴き声が相互作用を通じて同期していく不思議を非線形科学の第一人者が解説してくれる本。自然現象を用いてわかり易く説明してくれるので非常にとっつきやすい。三章の「興奮」を通じて生体システムが同期する様は読んでて興味深く感じた。前著「非線形科学」と同じ人が書いたとは思えないくらい面白くなっている。本書を読んでて思ったのだが、おそらく前著を書く上で編集者と著者の間で「現象」という言葉について齟齬があったのではないかと勝手に憶測をしてしまう。2016/06/22