出版社内容情報
ベストセラー『悩む力』の4年ぶりの続編
「戦後」よりも憂鬱なこの時代のただ中で、ふたたび幸福の感情に浸ることなど、可能なのだろうか? そのヒントは、夏目漱石の100年前の予言と、「二度生まれ」というキーワードにこそあるのだ。
内容説明
安定した収入、伴侶と家族、健康、老後のたくわえ―。この既存の幸福像は、いまや瓦礫と化した。神仏はおろか、現代社会の宗教とも言える科学への不信も極まり、寄る辺ない私たちの孤立はさらに深まっている。この憂鬱な時代のただ中で、私たちが真の意味で生まれ変わり、新たな「幸せの感情」に浸ることなど、果たして可能なのだろうか?その問いを解く鍵は、夏目漱石の一〇〇年前の予言にこそある。大ベストセラー『悩む力』刊行から四年の時を経て、待望の続編がついに登場。
目次
序章 「幸福論」の終わり
第1章 漱石とウェーバーに何を学ぶか
第2章 どうしてこんなに孤独なのか
第3章 漱石が描いた五つの「悩みのタネ」とは
第4章 漱石の予言は当たったか
第5章 ホンモノはどこにあるか
第6章 私たちはやり直せるか
第7章 神は妄想であるか
第8章 生きる根拠を見いだせるか
終章 それが最後の一日でも、幸せは必ずつかみ取れる
著者等紹介
姜尚中[カンサンジュン]
1950年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。東京大学大学院情報学環教授。専攻は政治学・政治思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
103
『悩む力』の続編ということもあり、より深く悩みながら生きることを論じています。3.11後の現在、戦後よりも厳しい世の中となったと語り、幸せの感情を取り戻せるかを夏目漱石をキーワードに考えていく。「幸福」や「態度」といったテーマが著者なりの言葉で紡がれているので強くメッセージ性を感じました。震災により、不安が大きくなりつつも、その悲観論を受け入れて生きることを突き詰めるのが今を生きるための必要性なのかもしれません。漱石の100年前の言葉が重なる現実は、人の本質は時代を超えても変わらないのだと思わされます。2016/10/19
mitei
72
今の社会の気分は実は100年ほど前からあったものが今は全員が享受しているという主張に納得。もはや成長する心の寄りべがないんだろうなと思った。2012/07/12
メタボン
36
☆☆☆★ 世間に蔓延る安直な幸福論に真っ向から挑む書。故にその表題も「悩む力」。グローバル化した世界で直接アクセス型社会となった現代、気づけば我々は「失郷者」になっている。これが人々の孤独感を強め、精神の不安定を助長している。誰にでも差し替え可能な、人が商品化された経済のシステムが人の尊厳を損なっている。人間の真価は「態度」にある。一回性、唯一性のなかで生きる我々だからこそ一瞬一瞬の態度が重要。安直な幸福の方程式に自分を当てはめて自分をダメだと考える自己追放型の思考から脱却し「二度生まれ」の人生を生きる。2021/05/07
AKIKO-WILL
34
先にこちらを読んでしまいました!「続・悩む力」著者が語る漱石やウィーバーを読んだ事もないので色々引用されてもピンと来ない箇所はあるけど、今現代に生きる人たちに伝えたいことは何なのか?著者が語る人間の3つの価値「創造」「経験」「態度」何かを創り出す創造とそれに必要な経験をして人生に重みが出てきますが、その創造や経験するのに大事なのは人に気遣う態度!そして未来ばかりみるのではなく過去にも目を向ける事も重要だそうです。一回限りの人生を大事にするには未来よりも過去を大事にする。この本をキッカケにここで紹介されてい2014/03/03
抹茶モナカ
32
夏目漱石、ウェーバー、フランクルといった先人の言葉を引用しながら、悲観論を受け入れ、なお、より良い生を探究する一冊。一度死んだものとして、新たな気持ちで生き直す『二度生まれ』という考え方を知れただけで、大きな収穫だった。若い頃から、落ち込みやすい方なので、読んでみたけど、夏目漱石の苦悩の深さからすると、僕の苦悩なんて、とも思ってみたり。2016/10/05